東京電力福島第1原発事故から5年を前にした今も、福島県内や東京、埼玉など各地に避難している人の3割超が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性が高いストレス状態であることが支援団体などのアンケートの速報値でわかりました。安倍自公政権が6月の閣議決定で「2017年3月に避難指示を解除」とした区域からの避難者に限ると、高ストレス状態の割合は半数以上と、突出していることもわかりました。
2月27日、東京都内であったシンポジウムで発表しました。
結果を分析した早稲田大学災害復興医療人類学研究所の辻内琢也所長(准教授)は「避難者全体のストレスの数値は下がる傾向にあるのに、避難解除予定の地域だけ上がっている。政府の政策の影響とみられる」と話しています。
アンケートは、震災支援ネットワーク埼玉(SSN)と早大が昨年12月から今年2月にかけて5464世帯に郵送。同24日までに18%の回答を得たといいます。
分析の結果、33%の人がPTSDの可能性が高い状態でした。昨年調査の41%からは減少しました。ただし、政府が避難指示解除と賠償の打ち切りを決めた区域からの避難者では52%でした。
同准教授は「政府はいきなり17年3月までに避難解除すると決めたが、住民は生活再建も心の準備もできていない。早すぎる」と背景を推測します。
調査ではこのほか、42%の避難者が「生活費に心配がある」と回答。原発事故の賠償や補償問題について63%が「心配事がある」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2016年2月29日より転載)