臨時災害放送局「南相馬ひばりFM」で「ふたりとひとり」のパーソナリティを務めて丸4年になります。
「ふたりとひとり」は、わたしと地元のお二人がお話をする、毎週金曜放送の30分番組で、2月19日で第190回、380人の方にご出演いただきました。
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出演者のなかには、視覚障害者の方もいます。
矢島秀子さん(74)には、「いつもの地震は、カタ力タ、ガタガタガタと10秒ほどで収まるのに、あの時は、いきなりドーンときて、ガチャガチャガチャガチャと揺れたんです。収まったと思ってコタツから顔を出したら、ガスの臭いと、シューッとガスが漏れる音がして、ガス爆発するんじゃないかと思って、白杖(はくじょう)も持たずに裸足(はだし)で外に飛び出したんです」というお話や、避難先の体育館では千人近いひとが雑魚寝をしているような状態だったから、白杖を使うことができずに、トイレを我慢して座っていた、というお話をうかがいました。
山田清子さん(70)からは、「あの日、いつものように盲導犬のクローネ(7)と散歩をしていたんです。そしたら、クローネが脚を突っ張らせてどうしても先に行きたがらない。どうしたんだろうと思いましたが、仕方なく家に帰りました。その途端、地震がきました」という不思議なお話をうかがいました。
「福島県視覚障がい者福祉協会」の理事を務めている高澤孝夫さん(69)からは、2011年の障害者自立支援法の改正時に創設された「同行援護サービス」の必要性についてご説明いただきました。人間が外界から得る情報のうち80%が視覚によるものであることから、視覚障害は「空間に関する情報障害」といわれています。自宅での日常生活に支障はなくても、買い物や通院などは(白杖や盲導犬があったとしても)一人では困難なのです。
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相双地区の視覚障害者648人(2013年4月1日時点)に対して、同行援護者として登録しているのは、わずか一人・・。
高澤さんは、「本来であれば行政に対応してほしいのですが、視覚障害者が声をあげないと前に進まないので、関係機関に、同行援護者を増やす取り組みをお願いしているところです」とおっしゃっていました。
同行援護者の女性(61)は「彼らを守るために一人でも頑張ります」と言っていますが、彼女にも生活があるので無理はできないだろうし、頼む方にも遠慮が生じる・・。
同行援護者の増加は、喫緊の要事なのです。
(ゆう・みり 作家 写真も筆者)(月1回掲載)
(「しんぶん赤旗」2016年2月29日より転載)