東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水対策として1〜4号機の周囲の土壌を凍らせる凍土遮水壁(陸側遮水壁)について、東電は22日、山側の一部を凍結せずに運用する認可申請書を原子力規制委員会に握出しました。
凍土壁は今月9日、凍結に必要な工事が完了しており、規制委が認可すれば東電は運用を始めます。
東電は、凍土壁の完全閉合までを3段階に分けて進めます。今回申請した第1段階の凍結範囲は、海側の全面と山側の総延長の約95%にあたります。
計画では、海側のほか山側のうち凍りにくい部分などを先行して凍結。その後、7カ所を除き、残りの山側を凍結させます。東電は、海側閉合の効果が表れるまで1カ月半、陸側は約2カ月と見込んでいます。
第1段階の効果や安全性などを確認するまで3カ月以上かかります。未凍結の7カ所を凍結させ完全閉合するまでの計画は、別途申請する予定です。
凍土壁は、地下水の流れを遮断して建屋に流入する地下水量を減らし、汚染水の増加を抑えるのが狙い。しかし、建屋周辺の地下水位が低下し、建屋内の汚染水が周辺の土壌に流出する危険性が懸念されています。
このため、地下水位の変動を注視した段階的な運用案や、海側のみの運用案などが、東電と規制委との間で議論されていました。
(「しんぶん赤旗」2016年2月24日より転載)
「凍土壁」の設備 報道関係に公開
政府は2月23日、東京電力福島第1原発の「凍土遮水壁」の設備を報道関係者に公開しました。建屋の周りには土壌を凍らすマイナス30度の液体が流れる銀色の配管が敷設され、高台には30台の冷凍機が設置されていました。
冷凍機から送り出された液体は建屋周囲に向かい、約1メートル間隔に打ち込まれた凍結管を通して土壌を凍らせます。配管の長さは約1500メートルに及びます。高台に新設された二つの建屋では、円柱状の冷凍機が横置きで15台ずつ並んでいました。
(「しんぶん赤旗」2016年2月24日より転載)