「働くもののいのちと健康を守る全国センターは東日本大震災から4年11カ月を迎えた11日、東京都内で、原発事故と働く人の安全と健康について考える学習合とミニシンポジウムを開催しました。参加者は講師やパネリストの話に耳を傾けました。
平和新聞編集長の布施祐仁氏が「原発労働者の今」と題して記念講演。自らの経験や取材での原発労働者の話を図表で示しながら、「福島原発事故は国の存立の問題。国を挙げて取り組まなければならないと思った」と事故当時の思いを振り返りました。「ベテランでも厳しいのに新人が来ると現場はバタバタになる。ベテランは自分たちがやった方が早いと作業量も、被ばく量も多くなる」と現場の様子を語りました。
ミニシンポジウム「原発事故と働く人たちの現状」では、宮城一般労組の遠藤秋雄副委員長、福島県労連の斎藤富春議長、福島県農民連の根本敬会長が発言。根本氏は農業者の観点から避難・賠償について言及しました。斎藤氏は実際に受けた労働相談にも触れ除染労働者の実態を告発。「天候が悪くなると働けなくなる。寮費や食費が天引きされていると引かれる分か大きくなり、生活も苦しくなる」
遠藤氏は、昨年11月に原発労働者の危険手当をめぐり、仙台地裁で和解した問題について報告。千葉県市川市から参加した是枝一成さん(57)は「現場の実態を分かっていなかったが、過酷な労働実態を知らなければならないと思った」と感想を語りました。
(「しんぶん赤旗」平成28年2月12日より転載)