日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 街と市民の命守るために 大間原発差し止め訴訟への思い・・工藤春樹函館市長に聞く

街と市民の命守るために 大間原発差し止め訴訟への思い・・工藤春樹函館市長に聞く

14-02-28hako 全国で初めて自治体による原発差し止め訴訟を起こす北海道函館市の工藤春樹市長に、思いを間きました。同市は、電源開発と国を相手どり、建設中の大間原発(青森県大間町)の建設差し止めを求めます。

3・11以前は私自身も「安全神話」につかっていました。福島の事故を目の当たりにして、大間は大丈夫なのかと目を向けたんです。

事故から1ヵ月半後の市長選で当選し、国や電源開発に大間原発の建設中止を求めて要請を繰り返しました。ところが1年後夜の2012年10月、建設工事は再開されてしまった。民主党政権は「2030年代までに原発ゼロ」といいながら「大間はいいよ」と矛盾した態度をとりました。政権は自公に代わりましたが、対応は変わりませんでした。

いくら要請しても建設が止まらないなら、函館の街を守り、市民の生命を守るためには、最終的には司法の場で争うしかないと訴訟を決意しました。これは正当防衛なんです。

逃げられない

一番腹立たしいのは、大間原発から30キロ圏内の函館市は、新しい基準で原子力災害に対する防災計画と避難計画の作成が義務付けられたのに、電源開発は説明会も開かないし、建設への同意を得ることもしないのです。

なぜ義務だけを負わされるのか。

以前はEPZ(緊急時計画区域)で10キロ圏内の自治体の義務でした。新しい基準で既存の原発の周辺に防災計画を広げるのはわからなくもない。しかし、建設中の原発は、いったん止めて、周辺市町村の住民が逃げられるかどうか確認したうえで再開すべきかどうか判断しないとおかしいでしょう。

函館市は、三方を海に囲まれ、逃げるには北へ行く国道しかありません。その国道はゴールデンウイークやお盆には大渋滞を起こします。北斗市と七飯町も合わせて35万人がいっせいに逃げ出したら、車は動けず、みんな被ばくすることになる。まして冬、吹雪にでもなれば逃げようもありません。

思いをつなぎ

提訴は多くの市民に支持され、「大間だけは止めてね」と激励されています。費用がたくさんかかるなら募金したいと言ってくれる人もいます。

この問題は、函館だけに収めたらだめだと思っています。全国に発信したい。私たちと同じ考えの原発周辺自治体も少なくないと思います。勇気を持ってもらいたいし、思いをつないでいければいい。
聞き手 秋山強志
写真  佐藤幸治

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です