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高浜再稼働 「自力で逃げられない」・・雪と山道、避難に不安/京都・舞鶴

tizu16-1-30 事故が起きた場合、原発から半径5キロ圏内の住民は直ちに避難する計画ですが、この中には隣接する京都府舞鶴市の一部が含まれます。冬は雪が積もる山あいの集落で、住民は万一の際の避難計画に不安を抱えたまま再稼働の日を迎えました。

 高浜原発(福井県高浜町)は全国で唯一、半径5キロ圏が2府県にまたがります。圏内の舞鶴市松尾、杉山の2地区には32世帯65人(2015年4月時点)が住みます。松尾地区で区長を務める谷義雄さん(74)は「最終的な避難場所や、どの道路を使えばいいかなど、具体的な話を行政から聞いたことがない」と計画の不備を指摘します。

 谷さんの自宅から市中心部に続く国道へ出るまで、約2キロの山道を通ります。冬場の積雪は多い年で2メートルになるといいます。妻マツエさん(71)は「雪が降れば、自力で逃げろと言われてもまず無理。地区には車の運転ができない高齢者も多い」と表情を曇らせます。

 防災行政無線などで原発事故の知らせを受けた場合、住民情報を記した避難カードを持ち、指定された一時避難場所に集まることになっています。交通手段は自家用車やバスなどですが、自然災害で道路が寸断された場合の対処など、課題が残ります。

 谷さんは「福井県側から避難者が殺到した場合に発生する渋滞や、停電で信号機が止まった場合など、とにかく詳細な想定をしてほしい」と語気を強めました。

 関電は再稼働に際し、同意を得る対象を立地自治体の高浜町と福井県に限定し

ました。

 地区にある松尾寺の松尾象空住職(56)は「福井だけの意思で話が進められるのはおかしい。何か事故が起こった場合、誰が責任を取るのか」と疑問を呈します。避難計画について「府民の対策だけ考えても駄目。福井、京都と分けるのではなく、5キロ圏というまとまりで策定すべきだ」と訴えました。

(「しんぶん赤旗」2016年1月30日より転載)