日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > “福島に生きる”除染作業員の権利を守る・・県労連労働相談センター 川村滋道さん(66)

“福島に生きる”除染作業員の権利を守る・・県労連労働相談センター 川村滋道さん(66)

除染作業員の相談に応じる川村さん=福島市
除染作業員の相談に応じる川村さん=福島市

 「平成の奴隷」。東京電力福島第1原発事故で放射能汚染された福島県で、除染作業に携わる労働者の間で自虐的にいわれている言葉です。

■違法労働が横行

 除染作業員からの労働相談は急増しています。「2015年1年間で144人にのぼっています」と実態について話すのは、福島県労連労働相談センター所長・川村滋道(かわむら・しげみち)さん(66)です。

 飯舘(いいたて)村で除染作業した大手ゼネコンの3次下請け労働者は「ガソリン代などを引かれて赤字」と言います。

 「所長と反目すると『お前は出入り禁止』といわれ半月分の賃金が今も払われていない」などの違法が横行しています。

 飯舘村の2次下請けの業者が危険手当1人6600円を大手ゼネコンの元請けに請求したところ「それは工事費に含まれている」と支払われなかったなど労働者だけでなく業者からの相談もきています。

 労基署に行くと「県労連に行ったらどうですか」と紹介されて相談に来る労働者もいます。川村さんらは「復興のためにありがとう」と、除染作業労働者に感謝の気持ちで対処。民主団体の全ての知恵を借りて権利擁護に取り組んでいます。

 福島県労連が除染を監督する環境省に出した要望書には、▽危険手当を支払わない▽ケガなどすると即時解雇▽寮費・ヘルメット代・安全帯などが全部自己負担・・などと、無権利に置かれている実態を告発しています。

 川村さんはNTTの労働者でした。一党支持しめつけの職場で「政党支持の自由」を主張して活動してきました。24歳と31歳のときに2回書記長に当選したこともありました。

■自分を守る保険

 「自己啓発で取得した24の資格や在職中のたたかいが血肉となった。労働組合は自分を守る保険なんです」と労働運動での体験を相談活動に生かしています。

 妻が桑折町(こおりまち)の出身。週末は8反の田んぼや畑でコメ作りやあんぽ柿、ブドウを育てています。

「3・11」からの5年間は「暇のない5年間たった」と振り返ります。国と東京電力に原状回復と損害賠償を求めた生業(なりわい)訴訟の原告に加わりました。

 「われわれが言わないで誰が言うのか。どういうことになっているのか考えてほしい。年がたつにつれて福島を忘れさせようとする動きが強まっています。論より証拠。福島に来て、見て、感じてほしい」と呼びかけます。

 原発再稼働を強引にすすめる安倍政権。「もう一つ原発事故がおきたらどこに逃げるのか。外国に輸出するなど犯罪行為だ」と怒ります。

 「加害者の国も東京電力も誰もが責任を取らない。被害がある限り償うべきだ」

(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2016年1月27日より転載)