日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > “福島に生きる”原発も温暖化も危険・・石炭火力発電所新増設に反対する準備会代表・・半澤紘さん(72)

“福島に生きる”原発も温暖化も危険・・石炭火力発電所新増設に反対する準備会代表・・半澤紘さん(72)

出来上がった準備会ニュースを示す半澤さん
出来上がった準備会ニュースを示す半澤さん

 福島県のいわき市と広野町など沿岸部の6カ所に石炭火力発電所の新増設が持ち上がり、説明会が進められています。

 「時代錯誤だ」と反対運動を立ち上げた、いわき市の半澤紘さん(72)は怒ります。我慢ならないことは「原発事故の代替として宣伝されている」ことです。

 「COP21(国運気候変動対策会議)で脱石炭の方向が世界の流れになった。石炭火力は最悪のCO2排出源です。原発事故で放射能汚染をもたらし、今度は大気汚染をひどくする石炭火力発電所建設。黙っていれば計画はどんどん進められていく」と危機感を強めています。

■次世代への責任

 待ったなしの温暖化が現実になっているのに「今、物を言わなければ将来世代に申し訳ない。責任が問われることになる」といいます。

 半澤さんは、高校の理科の教員を37年間務め、退職して十数年たちます。

 「大学では物理を学び、卒論で当時、中国の核実験の放射線量測定を行いました」。

 40年前に原発建設の話が出て、教員組合の支部書記長として、反対運動や原告団支援に取り組みました。支援に加わった組合員の多くは今回、原発事故が起きたとき、「あの時に異を唱えたことの意味をかみ締め」ながら怒りを新たにしているといいます。

 まもなく「3・11」から5年になろうとしています。「何か棘(とげ)が刺さったような生活を強いられた5年間。ストレスを感じながら生活しているのは間違いない」と話します。

 孫に飲ませる飲料水はペットボトルを使用しています。「いまだに法的責任を認めて謝罪もしない国や東電に裁判で責任を明確にさせる」と、いわき市民訴訟の原告に加わりました。

■人間の尊厳守る

 「脱原発に踏み込まなければ福島に学んだことにならない。人間がコントロールできないものを造ってはいけない。結局、電力会社の資産をゼロにするわけにはいかないので、そのまま再稼働させる。人間の尊厳と企業の利益を計ったならば比べられない重い価値があると判断した判決(2014年5月、福井地裁)があります。再稼働には絶対に反対です」と語ります。

 「再稼働にしても、戦争法の強行成立にしても、歴史の逆行を許すことはできません。安倍政権は再び大きく戦争をする国へと舵(かじ)を切ろうとしています。『再び子どもたちを戦場に送らない』と教壇に立ってきたので、将来世代にたいする責任として再稼働を許さないために、毎週金曜行動に参加し、戦争法では2000万署名に力を尽くしています」

(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2016年1月10日より転載)