東京電力福島第1原発事故で、2011年3月11日夜に政府が出した避難指示について、翌12日まで2割未満の住民にしか伝わらなかったことがわかりました。内閣府が12月18日に公表した避難住民へのアンケート結果によるもの。事故時の情報伝達の不十分さが改めて浮き彫りになりました。各地で策定されている避難計画について、こうした面での実効性の検証が必要です。
調査は14年2月から5月にかけて福島県内の22市町村の避難世帯を対象に実施。約2万人が回答しました。
11年3月11日午後9時23分に出された、原発から半径3キロ圏内の住民に対する避難指示について、翌12日までに知った人は15・6%にとどまりました。避難指示を聞いて、「どこに避難すればよいかわからない」と感じた人は47・7%、「何が起きたのかよくわからない」と感じた人は39%いました。
また、同様に出された、半径3〜10キロ圏内の住民に対する屋内退避指示については、翌12日までに知った人は18・8%にとどまりました。屋内退避指示を4月30日までに知った人のうち、実際に避難したのは59・9%でした。一方、11日午後7時18分の原子力緊急事態宣言から12日午後6時25分の半径20キロ圏内の避難指示まで「いずれの情報も入手しなかった」という人は26%いました。
避難先の数について「5カ所以上」と笞えた住民は22・2%いました。
同3月11日から4月30日の間に、同居していた家族が離れて暮らすようになった人は約40%にのぼりました。理由に「仕事上、避難できない家族がいたから」「避難を開始するときに一諸にいなかった」を挙げる人が多くいました。
(「しんぶん赤旗」2015年12月21日より転載)