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“福島に生きる”映像作家 世界に伝える・・佐藤千穂さん(30)リユルカさん(31)

千穂さん(右)とルカさん
千穂さん(右)とルカさん

 「すべての人が向き合わなければならない問題です」。フランスから来日して福島の家族の今を撮る映像作家の佐藤千穂さん(30)、リユルカさん(31)夫妻はそう言います。

 フランス人のルカさんは「千穂と出会わなかったなら日本の福島まで来てドキュメンタリーを創ろうとは考えなかったと思います」。

 千穂さんは、吾妻連峰の里山につながる福島市西部、佐原地域に育ち、ルカさんと結婚して、フランスに住んで5年目になります。

■TVで放送予定

 フランスのテレビ局で放送予定の原タイトル「FUKUSHIMA Les voix sileuses(福島 沈黙する声たち)」の撮影中です。

 夫妻は、フランスで出会う日本人との会話に福島原発事故の話題が消えていくことに違和感を感じ、世界の普遍的な問題として現状と、故郷の未来を伝えなければ」と、今年11月初旬から撮影を始めました。

 千穂さんは、2011年3月11日、東日本大震災とその後の東京電力福島第1原発事故の第一報をフランスのテレビで知りました。必死で福島の実家に電話をかけますが、つながりません。「連絡の取れない悪夢が続き、夏に帰国しました」

 実家近くにある吾妻総合体育館に避難している人々を取材。見えない放射能とたたかっている野菜農家の姿を撮りました。

 千穂さんは高校でファインアートを学び、東京の多摩美術大学に入り、映像演劇学科を専攻。卒業後、自転車競技の魅力を伝える番組のディレクターを務めていました。「違うものを撮りたい。物の見方を広げたい」と渡仏。マリオネットを撮る撮影所でアシスタントカメラマンをしていました。そこでルカさんと出会いました。

 電力の7割以上が原発に依存するフランス。「原発ゼロ、再生可能なエネルギー政策に転換するとはフランスの政治家も言えない」とルカさんは指摘します。

 「福島後にフランス政府は7割から5割まで原発を削減させると言っていますが、経済界で力を持つ原子力関連企業からの圧力がかかり、仏政府は決定を先送りしています」

■告発する人広く

 日本の生業(なりわい)訴訟を取材した夫妻。「原発を告発する人を広げる。どんどん大きくして世界中に広げる。原告団に入る方々が出てくれば、この裁判は世界的な判例になるでしょう。日本の生業訴訟が原子力の流れを変える裁判になってほしい。それはフランスでも原発をやめさせる大きな抵抗力になる」

 2年後には日本に戻る予定です。

 「福島原発事故は、日本について考えるきっかけになりました。政治のことを語ることは格好悪いことと考えていましたが、それでは何も変わらない。思考停止から動き出しました。原発再稼働は絶対に反対です」

(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2015年11月29日より転載)