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東電株主訴訟 原告側上告/高裁判決は次の事故誘発

上告提起と上告受理申し立てを行い会見をする原告と弁護団=20日、東京都千代田区

 東京電力福島第1原発事故をめぐって、東電株主らが事故当時の経営陣に対して同社への賠償を求めた、株主代表訴訟で、原告側が20日、元役員ら被告5人全員の責任を否定した東京高裁の判決を不服として上告提起と上告受理申し立てをおこないました。

 上告後、記者会見した原告の一人である木村結さんは「あれだけの事故を起こしておいて、誰一人責任を取らないことは許されない」と話しました。

 原告代理人の河合弘之弁護士は、高裁判決について「(津波予測に)原発を止めるほどの切迫感がなかったとして被告らを免責する判決。次の事故を誘発するもの」と批判しました。

 東京高裁は6日の判決で、東電元役員ら被告4人の責任を認め13兆3210億円を東電に支払うよう命じた東京地裁判決を取り消し、原告らの控訴を棄却しました。

 福島第1原発事故をめぐっては、東電元役員3人が業務上過失致死傷で強制起訴されました。しかし一、二審は3人を無罪とし、検察官役の指定弁護士が上告。最高裁は今年3月に上告棄却を決定し、元役員2人の無罪が確定しています。昨年10月に死去した勝俣恒久元会長も公訴棄却となっており、旧経営陣への刑事責任追及は退けられました。

(「しんぶん赤旗」2025年6月21日より転載)