原子力規制委員会は11月25日の定例会合で、原発内にタンクで保管されている塩酸やアンモニアなどの化学物質が漏れた場合、中央制御室での作業が困難になる可能性があるとして、有毒ガス対策について検討会を設置し議論することを決めました。来年6月ごろをめどに、事業者への対策義務付けを視野に検討します。
規制委事務局によると、国内各地の原発の化学物質の保管状況を基に試算したところ、一定の条件下では漏えい後30分で制御室内の作業員の生命や健康に危険か及んだり、避難に支障が出たりする恐れがあると判明。具体的には化学物質の揮発性が高かったり、地震などで複数のタンクが損傷したりすると影響が大きくなることが分かりました。タンクの耐震性は、3段階あるうちの3番目のCクラスで設計されています。
米国も原発で有毒ガスが発生したとして、2012年に注意喚起していましたが、日本では明確な規定が定められていませんでした。今後、原発だけでなく使用済み核燃料の再処理施設なども対策の対象にしていく方針です。
(「しんぶん赤旗」2015年11月26日より転載)