異常気象や生態系の破壊を引き起こす地球の温暖化対策について話し合う国連の会議が、11月30日からフランスのパリで始まります(12月11日まで)。温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスを削減するための2020年以降の国際的な枠組みを決めることが目的です。すでに日本、アメリカ、中国など150カ国以上が削減目標を提出していますが、いまのままでは地球全体の気温の上昇を産業革命前に比べ「2度未満」に抑えるという国際目標の達成は困難といわれています。目標を定期的に見直すなど、効果的な対策の合意が求められます。
すべての国が参加して
気候変動枠組み条約の第21回締約国会議(COP21)と呼ばれる今回の会議は、1994年に発効した同条約にもとづく毎年1回の会議です。同条約で削減目標を具体化した京都議定書(97年作成、第2約束期間は2020年まで)が先進国にしか削減義務を定めておらず、アメリカは署名したものの批准しなかったなどの問題点を持っているため、先進国、途上国を問わずすべての国に削減を求める、京都議定書以降の新たな枠組みを決めるのが目的です。
国連を中心とした世界の科学者の研究で地球の温暖化は確実に進行しており、その原因が産業など人間の活動による温室効果ガスの増加であることが明らかになっています。温室効果ガスの排出を削減し、地球全体では今世紀末までの気温の上昇を「2度未満」に抑えるのが国際的な目標です。
新しい枠組みをめぐる長期にわたる交渉は、先進国、途上国問わずすべての国に温室効果ガス削減を求め、アメリカや中国、インドなどがこれまでに削減目標を提出しました。日本は先進国の中でも大幅に遅れましたが、7月に目標(「約束草案」)を提出しました。
しかし枠組み条約の事務局など国際機関の試算では、現在提出されている各国の目標を足し合わせただけでは「2度未満」の目標達成は困難といわれています。目標の義務付けや引き上げには多くの国が抵抗しています。このため自主目標とした場合でも定期的に見直すこと、その際には目標を引き上げることなどで合意できるかどうかが焦点です。「共通だが差異ある責任」を原則に、各国の責任をどう書き込むのかなどをめぐって大詰めの調整が続いています。途上国は先進国からの資金援助を求めており、途上国支援の仕組みをどう盛り込むかも焦点です。
新たな枠組みはCOP21で合意した後、各国での批准などの手続きが必要です。今回の会合での効果的な対策の合意が不可欠です。
日本は国際的責任果たせ
京都議定書作成の際のCOP議長を務め、その実行に責任を負う立場の日本政府は、13年からの第2約束期間には参加しませんでした。20年以降の削減目標の提出も大幅に遅れ、ようやく提出した「約束草案」も原発事故で火力発電が増えた13年度を基準に、30年度に26%削減(90年度比では18%にしかならない)という不十分なものです。50年度には80%削減の長期目標との整合性もありません。
日本は世界で5番目の温室効果ガス排出大国として、温暖化対策の国際的責任を果たすべきです。長期目標に照らせば、30年度の目標は「40%以上」とすべきです。
(「しんぶん赤旗」2015年11月22日より転載)