東芝は11月12日、子会社で米国の原発プラント事業大手のウェスチングハウス(WH)が2012年度以降に単体決算で計約13億ドル(約1600億円)を損失にする減損処理を実施していたことを明らかにしました。東芝は「会計ルール上、必要ない」(広報・IR室)として、連結業績にはWHの減損損失を反映していません。東芝は先の決算発表時の説明ではWH社の損失額などの事実を開示しておらず「実質的隠ぺい」との指摘も出ています。
東芝によると、11年3月の東京電力福島第1原発事故を受けて新規の原発建設が不透明になったとして、WHは12年度に約9億ドル(約1100億円)、13年度に約4億ドル(約490億円)の減損処理をしました。
ただ、東芝幹部はこれまで決算発表の場でWHに関して「減損の必要はない。十分な資産価値がある」と答えてきた経緯があります。
東芝は12日、「連結ベースの回答で、発言に食い違いはない」(広報・IR室)と強調。さらに「WHは既存原発の燃料棒交換事業などが順調で全体の収益性は高い。連結決算で(買収金額と買収先の純資産の差額である)のれん代を減損処理する必要はない」(同)と話しました。
企業不祥事に詳しい郷原信郎弁護士は自身のブログで、「東芝の連結決算上、減損を回避する理屈があり得るとしても、その理屈を含めて事実を開示して説明することが、東芝にとって最低限の説明責任だ」と指摘。「実質的な『隠ぺい』と言わざるを得ない」と断じています。
(「しんぶん赤旗」20155年11月13日より転載)