四国電力伊方(いかた)原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に愛媛県の中村時広知事、山下和彦町長が同意しましたが、県や町が独自に設置した原子力広報センターの設立費用や運営費に、同電力が多額の出資をおこない、役員にも名前を連ねていたことがわかりました。住民の安全性確保など、監視役であるべき行政側と、原発を推進する側とは一線を画す必要があり、行政の中立性が問われています。
役員に名前も
同電力が出資しているのは、1982年12月、愛媛県が「原子力広報活動の拠点」とするため、伊方町役場近くの伊方町民会館内に設置した「伊方原子力広報センター」。
同センターのホームページによると、「広く一般県民に対し原子力及びその平和利用に関する知識の普及啓発などの広報活動を行う」ため、83年4月、愛媛県、伊方町、四国電力が共同出資して「財団法人伊方原子力広報センター」(2011年4月に公益財団法人に移行)を設立しました。
同センターの「定款」などによると、「原子力の平和利用の円滑な推進に寄与することを目的とする」と書かれ、愛媛県、伊方町、四国電力が各200万円を出資しています。
役員は、山下町長が代表理事に就任。常勤の業務執行理事には、ことし3月、伊方町を管轄する県南予地方局総務企画部総務県民課長を退職したOBが再就職しています。7人の理事は、県幹部と伊方町幹部が各2人、四国電力が伊方発電所長ら幹部3人という構成。監事3人も、県、伊方町、四国電力から各1人となっています。
今年度の収支予算書などによると、運営費は、約4800万円の事業費のうち、約2800万円は県と伊方町からの委託事業となっていますが、残りの約4割にあたる2000万円は、四国電力からの寄付です。
昨年度の事業報告書によると、子ども放射能出前セミナー(9小・中学校)、子ども向け広報資料の作成・配布、原子力施設見学会の実施(13回)、原子力の普及啓発を目的とした講演会(4回)、原子力施設子ども写生大会、広報用カレンダーの作成・配布(5500部)、佐田岬ハーフマラソン大会参加者にオリジナルフェイスタオルの配布(900枚)など、多岐にわたった活齢を展開しています。
いわば、電力会社と共同で原発の安全PRを税金も使っておこなっている格好です。
(「しんぶん赤旗」2015年11月12日より転載)