日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 原子力機構「資質なし」・・「もんじゅ」運転 規制委が勧告

原子力機構「資質なし」・・「もんじゅ」運転 規制委が勧告

 日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で多数の機器の点検漏れなど保守管理上の問題が繰り返されたことについて、原子力規制委員会は1113日、同機構が「もんじゅの出力運転を安全に行う主体として必要な資質を有していない」として同機構に代わる適当な主体を示すよう、所管する文部科学相に勧告しました。2012年の規制委発足以来、規制委設置法に基づく初めての勧告となります。規制委の田中俊一委員長が、馳浩文部科学相に手渡しました。

 勧告は、原子力機構に代わって「出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者」を具体的に特定すること、特定が困難な場合は「もんじゅが有する安全上のリスクを明確に減少させるよう」もんじゅの在り方を抜本的に見直すことを要求。おおむね半年をめどに報告を求めています。

 もんじゅは2012年に多数の機器の点検漏れが発覚。規制委は13年、抜本的対策を講じるまで、事実上の運転停止命令を出しましたが、その後も管理上の不備が相次ぎました。8月にも、機器の点検間隔に関わる安全重要度分類の誤りが新たに判明。文科省の研究開発局長や同機構理事長から意見聴取を行いました。

 規制委は、これまで文科省に対応を求める文書を2度出してきました。勧告では、文科省のこれまでの対応について「結果的に功を奏していないと考えられる」と指摘しています。

 もんじゅは、1995年に試験運転中にナトリウム漏れ事故を起こし、14年以上停止しました。2010年に試験運転を再開しましたが、直後に燃料交換機の落下事故を起こしています。

もんじゅ・・

mojyu-fbr 福井県敦賀市にある日本原子力研究開発樵構の高速増殖炉。研究段階の「原型炉」で出力28万キロワット。使用した以上の燃料を生み出すとの触れ込みで政府が開発を推進。国の核燃料サイクルの柱に位置づけられています。1994年に初臨界。しかし、相次ぐ事故でほとんど動いていません。一般の原発と異なり、水や空気に触れると爆発的に反応する液体の金属ナトリウムで原子炉を冷却するため、特別に大きな危険があります。世界的にも開発から撤退しています。

(「しんぶん赤旗」20151114日より転載)


全文は、下記をご覧下さい。

原規規発第 1511131 号 平成27年11月13日

原子力規制委員会

 

文部科学大臣  馳浩殿

 貴職が所管する国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「機構」という。)は研 究開発段階発電用原子炉である高速増殖原型炉もんじゅ(以下「もんじゅ」という。)の設 置者であるところ、当委員会は、次の1及び2に述べるところに鑑み、原子力利用におけ る安全の確保を図るため、機構の主務大臣である貴職に対し、原子力規制委員会設置法(平 成24年法律第47号)第4条第2項の規定に基づき、下記のとおり勧告します。

 また、今後貴職が本勧告に基づいて講じた措置について同項の規定により報告を求める ことがあることを申し添えます。

1 一連の経緯と問題点

(1) もんじゅについては、当委員会発足前においても、平成7年のナトリウム漏えい 事故を契機として、近年に至るまで、品質保証活動を含む安全確保上の課題について「も んじゅ安全性総点検」を始めとする種々の取組が行われ、この間、設置主体(旧動力炉・ 核燃料開発事業団、これが改組された旧核燃料サイクル開発機構及びこれが改組された日 本原子力研究開発機構)における対策に加え、規制官庁(旧科学技術庁及び旧原子力安全・ 保安院)による指導も再三にわたって行われてきたものの、結果的に具体的な成果を上げ ることなく推移したものと認められる。(この間の経緯等については、別添1のとおりであ る。)

(2) 当委員会発足後においても、もんじゅについては、保守管理等の不備に係る種々 の問題が次々と発覚したため、当委員会は、機構に対し、その都度所要の規制上の措置を 講ずるとともに、それだけでは十分ではないと認められたことから、機構の主務省である 文部科学省に対しても適切な監督を行うよう二度にわたり要請してきたが、現在に至るも 十分な改善は見られていない。(この間の経緯等については、別添2のとおりである。)

(3) このようなことから、当委員会は、機構のもんじゅの運転、なかんずく出力運転 (原子炉を起動し、稼働する行為及びこれらに準ずる行為をいう。以下同じ。)の主体とし ての適格性に関し、原子力利用における安全の確保の観点から重大な懸念を生ずるに至っ たところであり、このような状況を踏まえ、当委員会では、本年9月30日及び11月2 日の委員会会合において機構の理事長から、10月21日の委員会会合において文部科学 省の担当局長から意見を聴取したところであるが、かかる懸念を解消することはできなか った。

2 評価

(1) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第16 6号。以下「原子炉等規制法」という。)は、発電用原子炉の安全規制について、段階的安 全規制を採用しており、各段階において、構造設備等についてのいわゆるハード面の規制 と、保安上の措置等についてのいわゆるソフト面の規制の両者があいまって十全のものと なる仕組みを採っている。

 すなわち、原子炉等規制法は、発電用原子炉の設置の許可の基準として、発電用原子炉 を設置するために必要な技術的能力や発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術 的能力などのいわゆるソフト面の要求と、発電用原子炉施設の位置、構造及び設備に関す る災害防止上必要な基準への適合といういわゆるハード面の要求を掲げるとともに(原子 炉等規制法第43条の3の6第1項)、設置許可を受けた者(発電用原子炉設置者)に対し ては、いわゆるハード面で、発電用原子炉施設の構造設備等について一定の技術的基準へ の適合(原子炉等規制法第43条の3の14、第43条の3の23)を求めるとともに、 いわゆるソフト面で、発電用原子炉施設の保全や発電用原子炉の運転等について保安のた め講ずべき措置(原子炉等規制法第43条の3の22)や保安規定の制定及び遵守(原子 炉等規制法第43条の3の24)といった保安上の措置の実施を求めている。

 原子炉設置者が所要の保安上の措置を適正かつ確実に行う能力は、ソフト面の要求の中 心的な要素であって、安全規制上の重要性はいうまでもない。

(2) これを踏まえ、当委員会では、平成24年12月12日及び平成25年5月29 日に、機構に対し、原子炉等規制法の関係規定による保安措置命令を発出した。このうち、 平成25年5月29日の保安措置命令においては、これらの命令に係る措置が完了した後 に対応結果について当委員会に報告することを求め、さらに、これに関する当委員会の確 認が完了するまでの間は、保安の確保に必要な点検等を除き、使用前検査(原子炉施設の 性能に関する事項に限る。)を進めるための活動を行わないことを命じた。しかしながら、 現時点で、使用前検査を進める前提となる保安措置命令についての対応結果の確認を行え る状況にはない。

(3) これらに加え、1で述べた経緯等に鑑みると、機構については、単に個々の保安 上の措置の不備について個別に是正を求めれば足りるという段階を越え、機構という組織 自体がもんじゅに係る保安上の措置を適正かつ確実に行う能力を有していないと言わざる を得ない段階(安全確保上必要な資質がないと言わざるを得ない段階)に至ったものと考 える。もとより、原子炉を起動していない段階ですら保安上の措置を適正かつ確実に行う 能力を有しない者が、出力運転の段階においてこれを適正かつ確実に行うことができると は考えられない。

 保守管理や品質保証などの保安上の措置は原子力利用における安全の確保の大前提であ るから、このような者には、少なくとも当面の対応として、発電用原子炉の出力運転を認 めることはできない。

(4) もんじゅは、高速増殖炉であることに伴う固有のリスクを有するとともに、研究 開発段階とはいえその出力の規模は商用の原子炉に近いものであって、そのリスクも軽視 することはできない。すなわち、もんじゅは、電力事業者が設置し、運転している軽水炉 に比べ安全確保上の難度が勝るとも劣らないのであり、以上述べたことからして、機構が これにふさわしい安全確保能力をもつとは考えられない。

 さらに、もんじゅは軽水炉と比べて類例や先行例に乏しいことから、機構において取ら れてきた電力事業者のノウハウの活用、経営層や現場関係者への外部人材の登用、各種の 外部支援を受けるなどの諸対策も、結果的に功を奏しておらず、この点について今後抜本 的に事情が変化するとは認められないところである。

(5) 以上によれば、もんじゅについては、機構が運転の主体であるままでは、出力運 転に向けた使用前検査を進めるための活動を行えない状態、ひいては原子炉を出力運転す ることができない状態が続いていくことになる。今後、施設設備の老朽化や運転員等の流 出や力量の低下が徐々に進行することを始め種々の安全上のリスクが懸念されるところで あるが、これは、もんじゅについて出力運転を見込むのであれば、原子炉施設の安全を確 保する観点から看過することができないものである。このため、早急に適切な措置を講ず る必要があると考える。

(6) 当委員会では、かねてより、文部科学省に対し、機構に対する適切な監督方を要 請してきた。文部科学省からは適切に対応する旨のお答えをいただいており、また、文部 科学省において所要の行政上の対応が行われていると承知している。しかしながら、もん じゅについての機構の対応に実質的な改善があったとは認められず、文部科学省のこれま での対応は結果的に功を奏していないと考えられる。

(7) 原子力利用における安全の確保を図る観点からいって、発電用原子炉の運転を適 確に遂行するに足りる技術的能力を有することは必要条件であり、研究開発等の能力がい かに優れていても、この必要条件に疑義が生ずるようであれば、発電用原子炉の出力運転を認めることはできない。 当委員会としては、原子力の利用における安全の確保を図ることを任務とする立場から、

 機構はもんじゅの出力運転を安全に行う主体として必要な資質を有していないと考えるも のであるが、もんじゅを用いて高速増殖炉の研究開発を行う主体としていかなる者が適当 であるかという判断は、安全確保上の必要条件を満たした上で、文部科学省の責任におい て行われるべき事柄である。

 貴職において、次の事項について検討の上、おおむね半年を目途として、これらについ て講ずる措置の内容を示されたい。

一 機構に代わってもんじゅの出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を具体 的に特定すること。

二 もんじゅの出力運転を安全に行う能力を有する者を具体的に特定することが困難であ るのならば、もんじゅが有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、もんじゅとい う発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと。

(以上)