政府は11月11日、中央省庁の事業が効率・効果的に行われているかを公開の場で議論する「行政事業レビュー」を3日間の日程でスタートさせました。対象は原発や地方創生、正社員化、教育、東京五輪など10テーマ55事業。行改推進本部と有識者が、各府省の担当者にただしました。
原発
高速増殖炉「もんじゅ」を開発している日本原子力開発研究機構への交付金が、使用済み核燃料運搬船「開栄丸」や、核燃料リサイクル機器試験施設などに使われていることについて「運用実績が極めて少なく、もんじゅも動いていないのに必要性があるのか」との意見が相次ぎました。
しかし、原子力規制委員会でさえ、同機構が運営主体として不適格と勧告することを決めたにもかかわらず、「もんじゅ」の是非は棚上げにした議論にとどまりました。
教職員増に反対
教職員数の増員については、「教員を増やせば学力が向上するという科学的根拠を示すべきだ」として、教員を増やしても教育効果がないとする暴論が相次ぎました。学力テストについても「データは広く開示し、生徒の評価や教員の評価にも結びつけるべきだ」として教育をゆがめる競争主義をいっそう強める意見が出ました。
これに対し文科省は学力向上などの実態を示し、「国庫支出で足りない県単独配置の加配教員は1万人を超えている」として増員の必要性を主張。有識者からも「生徒に個別対応を行う上で教員の数はまだ足りない」との意見が出ました。
学力テストの活用について文科省は、研究者へのデータ提供などを進めていくとした上で、教員評価への活用については「テスト結果だけで能力ははかれない」とのべました。
雇用問題
正社員化については非正規雇用労働者のキャリアアップ事業(92億円)について、正規雇用転換が7677人で「執行が低い」と指摘されました。
この事業は、派遣法を改悪しても正社員化を進めるとして持ち出されていたもので、根拠がなかったことを自ら認めた格好です。
有識者からは、「解雇しやすくすれば正社員が増える。流動性ある転職市場をつくることが重要だ」として、正社員化どころか不安定雇用を拡大する意見が出ました。
(「しんぶん赤旗」2015年11月12日より転載)