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伊方3号機再稼働 半島部住民“逃げ場ない”・・原発事故と天災重なれば…

(写真=上)四国電力伊方原発=10月31日、愛媛県伊方町 (写真=下)補修工事が行われている国道197号線のトンネル=10月31日、愛媛県伊方町
(写真=上)四国電力伊方原発=10月31日、愛媛県伊方町
(写真=下)補修工事が行われている国道197号線のトンネル=10月31日、愛媛県伊方町

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働をめぐって、中村時広知事と山下和彦伊方町長が10月、同意を表明しました。地元の人々は「住民無視で、結論ありきだ」と抗議の声を上げ、再稼働を許さない運動に立ち上がっています。               

(丹田智之)

 

■伊方町

 「日本一細長い」とされる佐田岬半島(全長約40キロ)の付け根にある伊方原発。重大事故が発生した際の避難計画では、原発から西側の住民(約5千人)は、フェリー(定員292人)などの船で大分県などに避難することになっています。津波や悪天候が重なれば船は出せず、多くの住民が取り残されることも想定されます。

 フェリー乗り場の近くに住む女性(81)は「原発事故が起きたら、私たちは逃げ場がありません。最後の1人まで船に乗るには、何時間もかかるだろう」と話します。

 港に通じる道は、山の急斜面に張り付くような県道と国道のみ。国道はトンネルが多く、現在3ヵ所で補修工事が行われています。建設工事に携わった西予市の男性は「地盤がもろく、崩壊の危険性が高い」と指摘します。

 原発から5キロ圏内に住む男性(82)は「集落から出る道は細く、土砂崩れの心配もあります。住民の大半が高齢者で、逃げようがない」と語りました。

 伊方町民にアンケート調査を行った「伊方原発50キロ圏内住民有志の会」の堀内美鈴さん(51)によると、9月11日現在で回答があった1028戸の内、再稼働「反対」は542戸(52・7%)にものぼります。

 

住民投票へ署名行動・・周辺自治体

 周辺自治体では、西予(せいよ)市で「原発止めようや西予市民の会」が10月に再稼働の中止を求める陳情を市議会に提出するなど、市民の行動も強まっています。

■八幡浜市

 伊方町に隣接する八幡浜(やわたはま)市では「住民投票を実現する八幡浜市民の会」が結成され、再稼働の賛否を問う住民投票を実施させようと、3日から1カ月間の署名行動が始まりました。大城一郎市長が9月議会での議論を待たず、30キロ圏内の7市町で最初に再稼働を了承したことで市民の怒りも広がっています。

 10月28日に開かれた同会の結成集会には、日本共産党の遠藤素子市議や無所属市議、前市議会議長も参加。「議会が無視できないように、圧倒的な数の署名を集めよう」と語られました。

 署名行動を支援する八木健彦さん(72)は言います。「再稼働の先にあるのは、放射能の危険と隣り合わせの生活。住民投票は、再稼働を止めるための大きな力になります。地域を揺るがす運動に発展させ、なんとしても成功させたい」

(「しんぶん赤旗」2015年11月7日より転載)