原子炉直下の破砕帯(断層)が「活断層」とされている敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について、日本原子力発電は11月5日、再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査を原子力規制委員会に申請しました。規制委が原子炉直下に「活断層」があるとした原発の申請は初めて。原電は2号機下に活断層はないと主張しています。
原発の新規制基準は将来動く可能性のある断層の上に、原子炉建屋など重要施設を設置することを認めていません。断層が動くことで重要施設が損壊し、重大事故につながる危険が生じるためです。
外部の専門家などで構成する規制委の調査チームは2年4ヵ月、現地調査などを踏まえて議論。2013年5月と今年3月の2度にわたり、2号機原子炉直下を通る断層が、敷地内の活断層「浦底断層」と連動する可能性があると判断し、断層は動かないとする原電の主張を退けました。評価結果は規制委に報告、了承されました。
新規制基準の審査で規制委は調査チームの判断を重要な知見の一つと位置付けています。審査では改めて原電の意見を聴き、断層の活動性を判断するとみられます。
申請によると、耐震設計の目安となる想定する地震の揺れ(基準地震動)を800ガル、想定する津波高さ(基準津波)を4・38メートルにしています。
原電が保有する原発で審査を申請するのは東海第2原発(茨城県)に続き2基目。全国では16原発26基目となります。
規制委の調査チームは、東北電力東通原発1号機(青森県)と北陸電力志賀原発2号機(石川県)についても敷地内で活断層の存在を否定できないとの見解を示し、事実上審査が止まっています。
原電のやり方怒りを覚える・・原発問題住民運動福井県連絡会幹事、日本科学者会議原子力問題研究委員会委員の山本雅彦さんの話
敦賀原発2号機直下の断層が活断層であるとの評価は、原子力規制委員会の評価会合で、各学会から推薦されたメンバーが議論を重ねて結論が出されたものです。
それを原電は気に入らないと、再三にわたって評価のやり直しを求めてきました。それは外国からも人を連れて来てまでして、議論を蒸し返し、何がなんでも規制委の評価をひっくり返そうとするやり方でした。しかし、原電は地元住民への説明会すら、私たちが要求しても、まったくしていません。2号機の200メートルの至近距離に1級の活断層である浦底断層があります。こうした危険を無視して、原発を動かそうとする原電のやり方には怒りを覚えます。
(「しんぶん赤旗」2015年11月6日より転載)