原子力規制委員会は10月29日、再稼働の前提となる新規制基準の審査を進めている中国電力島根原発2号機(松江市)に近い活断層「宍道(しんじ)断層」の長さについて、現地調査を行いました。調査は審査の一環で30日まで。
1日目の調査を終えた規制委の石渡明委員は「(宍道断層の西の端とされる地点からさらに3キロ西の)女島(めしま)地点を特に重要視している。ここに活断層としての宍道断層がつながっているかどうかが焦点。明日、ボーリング試料を見て判断したい」と述べました。
宍道断層は島根原発敷地から2キロ南側の松江市内を東西に走る活断層です。原発の耐震強度を決める上で、その長さが焦点になっています。
規制委は2月に断層の東端とされる付近の調査を行っています。
今回は、「女島」地点の地層やボーリング調査結果を確認し、長さ約22キロとする中国電の評価が妥当かどうかを調べるものです。
規制委の石渡委員ら11人のメンバーはこの日、「女島」地点やさらに15キロ西の出雲市美保町など海岸で見られる急傾斜部の岩肌などを観察、鎌で削るなどして調査しました。
地質調査所の地図には「女島」地点に断層があるとされていますが、中国電は新しく掘ったボーリング調査結果などから、宍道断層の延長部に当たる活断層とは認められないとしています。
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宍道断層の評価をめぐって中国電はこれまで何度も訂正し、断層の長さが徐々に延びています。そのたびに国も承認してきました。
1998年に3号機の増設に伴う断層調査で、中国電が宍道断層を活断層と初めて認め、長さを8キロと評価。2004年に約10キロと訂正しました。その後、専門家の現地調査でその評価の誤りが明らかになり、08年に2倍に当たる約22と評価せざるを得ませんでした。宍道断層が活動した場合の地震の規模はマグニチュード7・1と推定されています。
中国電は2号機の申請で、想定される地震の揺れ(基準地震動)を600ガルと設定しています。
(「しんぶん赤旗」2015年10月30日より転載)