東京電力は10月29日、福島第1原発2号機で格納容器に通じる配管がある小部屋を調査した結果、放射線量が最大で毎時9・4シーベルトだったと発表しました。45分程度とどまれば人間が死亡する高線量で、東電は除染に1カ月以上かかるとみています。
東電によると、小部屋は格納容器の外側にあります。今年8月に配管からロボットを投入し格納容器内部の調査を行う予定でしたが、線量が高く実現の見通しは立っていません。
小部屋の調査は9月4〜25日に実施。線量は床面の溝部分が最も高くなっていました。事故による高温で設備の一部が溶け出した影響が考えられますが、詳細は不明。東電は30日からロボットを使って作業を始めますが、除染は計画通り進んでも12月までかかるといいます。
第1原発では1〜3号機の圧力容器内部で核燃料が溶け、格納容器に落下したと推定されています。溶け落ちた燃料の位置や形状が分からない上、格納容器内外は極めて線量が高いため、廃炉作業は行方が見通せない状況が続いています。
島根原発 現地調査終わる
再稼働の前提となる新規制基準の審査を進めている中国電力島根原発2号機(松江市)に近い活断層「宍道(しんじ)断層」の長さについて、原子力規制委員会の現地調査が30日、終わりました。調査は29日から行われました。
調査を終えた規制委の石渡明委員は、これまでの中国電の調査の範囲で宍道断層の長さを評価するとし、大規模な追加調査を求めない考えを示しました。調査結果は、今後の審査会合で行われる予定です。
2日目は、敷地内で見られる、非対称の地層のたわみがどのように形成されたかを確認するため、2号機西側の敷地内の造成地で掘られた地層を調査。石渡委員らは岩の性状などを調べていました。
また、中国電が約22キロと評価する活断層・宍道断層の西端から、さらに3キロ西の「女島(めしま)」地点(松江市魚瀬=おのぜ=町)で掘削されたボーリング試料や、宍道断層とされる場所の試料などを観察しました。
宍道断層は島根原発敷地から2キロ南側の同市を東西に走る活断層です。原発の耐震強度を決める上で、その長さが焦点になっています。中国電はボーリング調査結果などから、宍道断層の延長部に当たる活断層とは認められないとしています。
(「しんぶん赤旗」2015年10月31日より転載)