【ワシントン=島田峰隆】11月末からパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて、1日までに118カ国と1地域(欧州連合=EU、28カ国)の計146カ国が、温室効果ガス排出削減の国別目標案を国連に提出しました。地球全体の排出の約87%を占める国々が提出した形です。
昨年のCOP20では、パリで合意を目指す2020年以降の排出削減の新たな国際協定に向けて、締約国は10月1日までに国別目標案を提出し、条約事務局が統合報告書にすることを決めました。
国連気候変動枠組み条約のフィゲレス事務局長は2日、「前例のない幅広さと深さを持った反応だ。温室効果ガスの排出が少ない、持続可能な開発を国レベルで達成する機会が訪れているという認識の広がりを示すものだ」と歓迎しました。
特に排出量世界第3位のインドがようやく1日に目標を出したことが反響を呼んでいます。同国の目標は、30年までに05年比で国内総生産(GDP)当たりの排出量を33~35%削減する内容です。
ニューヨーク・タイムズ紙4日付社説は「インドの目標は主要排出国の中で最も野心に欠けるものの一つだが、COP21まで2カ月を切った今、目標提出は重要な前進だ」と強調。気温上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑える目標に対し、世界全体の対策は不十分なものの、「約140カ国の示した約束が温暖化とのたたかいの転換点になることが望ましい」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2015年10月6日より転載)