「きらきら発電・市民共同発電所」の1号機(出力50キロワット)が設置された仙台市若林区の井土地区は、津波で大きな被害を受けた地域です。現在、住宅跡地にソーラーパネル約300枚が並び、順調に稼働しています。
跡地活用
井土地区は被災当初、市が、防災集団移転の対象になる災害危険区域に指定する案を示していたこともあり、住民の多くが自宅の取り壊しや、移転の検討を進めていました。
ところが市は、一転して危険区域に指定せず、宅地跡は活用方法も定まらない状態になりました。
震災後、100世帯から十数世帯にまで減少し、小学校の統廃合も決まっています。活性化に悩む同地区の住民と、市民発電所を結びつけたのが、宮城県議選(16日告示)の日本共産党県議候補の福島かずえさん(54)でした。
発電所の設置場所を探していることを知った福島さんは、町内に住んでいた大友新さん(63)に、更地になっている住宅跡地を活用できないか、と提案しました。
大友さんは、災害危険区域指定の見直しや被災宅地の買い取りを求める子育て世代を中心に立ちあげた「井土町内を考える会」の代表として市と話し合っ
てきました。
市は、同地区住民の移転費用の一部を補助する支援策を示しましたが、土地の買い取りはありませんでした。このため、移転した被災住民が移転先と二重に固定資産税の負担をする問題も起きています。
大友さんの働きかけで、そうした地権者の1人が「更地で放置するよりは」と発電所に土地を貸すことを了承しました。
将来展望
現在、多くの宅地跡は農地整備などの施工業者が現場事務所として利用していますが、工事が終われば、更地が広がることになります。
大友さんは「夏は海から吹く風が気持ちよく、とても住みよい地域です。発電所があることで地区の存続に役立ってもらえたら」と期待を寄せました。
津波で農業も大きな被害を受けました。大友さんらは、生産組合を立ち上げ、米やネギを作り、地区の存続に取り組んでいます。昨年から始めた収穫祭は
移転した地区の住民たちが集まる貴重な機会となっています。
(おわり)
(「しんぶん赤旗」205年10月5日付けより転載)