宮城県の住民でつくるNPO法人「きらきら発電・市民共同発電所」(水戸部秀利理事長)は9月、仙台市内2ヵ所に太陽光発電所を開所しました。東日本大震災の被災地から、市民参加型の脱原発社会へ向けた実践が始まっています。
(佐藤幸治)
昨年9月、脱原発の活動をしてきた水戸部さんたちの間で「実践・提案型の活動をしよう」と、地域共同発電事業の計画が持ち上がりました。『市民・地域共同発電所の作り方』(かもがわ出版)を参考にしながら準備を進め、今年4月に法人を設立しました。
地産地消
法人の立ち上げ準備から関わった高山摩耶子さんは「原発反対のデモに参加していて、再生可能エネルギーの利用を実践したいと思っていました。エネルギーの地産地消を自分たちの力でやることに賛同しました」と話します。
2ヵ所の発電所のうち、「きらきら発電1号機」(出力50キロワット)は津波で被災した同市若林区の井戸地区に設置。2号機(30キロワット)は、太白区の「柳生もりの子保育園」(大門祐子園長)の屋根を借りて設置しました。発電した電力は東北電力が買い取ります。
先月28日、2号機の開所式が開かれ、市民が完成を祝いました。震災の時、学校に太陽光パネルを設置しながら、電力会社へ送電する設備しかなく、学校の電源として使えなかった事例を踏まえ、災害時は保育園の電源として活用できるシステムになっています。
大門園長は「安心なエネルギーは未来への贈り物だと思います。発電所のことは子どもたちや、地域にも話していきたいと思います」とあいさつしました。
出資広く
脱原発の金曜デモや職場の退職者などに出資を呼び掛けて、現在は65人が市民共同発電所に無利子でお金を出しています。
補助金も得て、2ヵ所の設置費用約3千万円を工面することができました。
メンバーの1人、広幡文さん(63)は「きらきら発電は、仙台市では初の住民が出資する太陽光発電所です」といいます。
同法人では、今後も会員などを募り、県内各地に発電所を設置する考えです。
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2015年10月4日より転載)