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除染は、処分は、農業は・・厳しい現実に挑む学び

福島 大熊中学校 ふるさと創造学

テーマを交流する生徒たち=2015年9月17日、福島県会津若松市の大熊中学校
テーマを交流する生徒たち=2015年9月17日、福島県会津若松市の大熊中学校

 東京電力福島第1原発事故のために避難して福島県会津若松市で開校している同県大熊町の大熊中学校の生徒たちが、町の課題を考える総合学習「放射線教育を通したふるさと創造学」にとりくんでいます。

課題設定して

 3年生26人は、放射線の基礎が中心だった1年(2013年)、「食、観光、環境、健康」の4チームに分かれて研究した2年(2014年)に続き、今年は一人ひとりが地域の課題を自分なりに研究テーマに設定し、調べ、提言をまとめます。

 「総合」の時間を年間38時間使う計画です。これまでは町の復興状況の学習などから、テーマを考えてきました。このほどその中間発表会があり、全員がテーマを発表しました。

 「若者が帰りたいと思う町づくり」「大熊町でもできる農業の研究」など町づくりをテーマに考えた生徒は12人、「除染した廃棄物はどう処分するか」「短い時間で有効な除染は」など放射線や除染をテーマにしたのが10人、再生可能エネルギー2人などです。

 「より良い最終処分方法の研究」というテーマを説明したある男子生徒は、理由を「大熊町民をはじめ、たくさんの人が直面する厳しい現実だと思ったから」とのべました。

 研究内容、方法を説明したあと、「最終処分がこんなに不確定なことだとは最初からわかっていた。二度と同じ過ちをくり返さないために、この問題に真摯(しんし)にとりくみたい」と結ぶと、同級生からひときわ大きな拍手がおきました。

 「早くできる除染の仕方」を設定した女子生徒は「時間がたつと町が忘れられてしまうのではないかと心配です。なるべく早くできる方法を考えたい」と話します。

 その生徒は、昨年度は食チームの一員として、県産食材を使った復興定食のレシピを創作。3月刊行の町の『第二次復興計画』冊子に、そのレシピが生徒たちが町役場に伝えた諸提言とともに掲載されました。「考えて、自分に力がついてきたと思います」

 別の女子生徒も「調べて自分の考えを持ち、発表し、意見をもらい考える。将来役立ちます」といいます。

 生徒たちは研究をすすめ、成果を10月31日の文化祭や12月12日の双葉郡8町村のふるさと創造学交流会で報告します。

解決考える力

 小野田敏之校長はいいます。「生徒たちに身につけさせたいのは課題解決力です。自分の目で見て、どこに問題があり、どう解決するかを考える力をつける。それがふるさと創造学だと思います」

(中村秀夫)

(「しんぶん赤旗」2015年9月27日より転載)