政府は、東京電力福島第1原発事故で、政府事故調査委員会が聴取した記録(調書)5人分を9月24日、新たに公表しました。旧原子力安全・保安院の名倉繁樹・安全審査官(当時)は、事故前の2009年に東電から貞観(じょうがん)津波(869年)万の試算結果を見せられ、対策の検討に言及しましたが東電側は拒否していたことがわかりました。
公開された調書によると、名倉審査官は09年9月に東電から貞観津波の試算結果の説明を受けました。東電は8メートル台と説明。審査官は、「ポンプはだめだな」と思い、「具体的な対応を検討した方がよい」と促しました。
これに対し東電は、「土木学会の結果を踏まえないことには、会社として判断できない」、「炉を止めることができるんですか」などとして、対策を渋り、名倉審査官もそれ以上具体的な対策を講じるよう求めなかったとしています。
10年5月の東電からの津波堆積物の調査結果の報告では、福島第1原発の南方では堆積物が見つからなかったとの東電の説明に対して、名倉審査官は、東電が堆積物の出ないポイントを選定したのではないかという疑いを持ったとしています。
(「しんぶん赤旗」2015年9月27日より転載)