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楢葉町の避難指示解・・福島 すぐに帰還は一部に

hinansigi-kaijyo 東京電力福島第1原発から20キロ圏内で、避難指示解除準備区域に指定されていた福島県楢葉町(ならはまち)の避難指示が9月5日午前0時に解除されました。原発20キロ圏内の旧警戒区域での解除は3例目で、全域避難した7町村では初めて。避難解除については、住民の間から、家を取り壊したが復興住宅もできていないのに帰れない、森林除染がされていないので不安だ、水源のダム湖の底の放射性セシウム汚染が心配だなどの声が出ています。

全域避難で初

 楢葉町の人口は2694世帯7368人(1日現在)。復興庁が実施した昨年の調査では、「条件が整えば」を含め約46%の住民が「戻る」と答え、帰還する時期については、避難指示解除から「1年以内」と答えたのは37%でした。しかし、生活の不便さなどを理由に、すぐに戻るのは町内に長期宿泊している約350世帯780人など一部にとどまるとみられます。

 松本幸英町長は5日未明、同町で記者団に「ようやくスタートラインに立てた。今後も復興に取り組みたい」と述べました。

 政府や町は、10月に町内の診療所を再開させ、来年2月には県立診療所を新設。高齢者らの急病などに備え、緊急連絡用ブザーを希望者に配布するなど医療サービスを充実させるとしています。

 要望が多い買い物サービスでは、町内のスーパーが7月から無料の宅配を始めているほか、2016年度中にスーパーやホームセンターなどが入る公設民営の共同店舗を町内に整備する予定。

 放射性物質対策では、線量計配布のほか、24時間体制で浄水場の水質モニタリングを行い、希望世帯で蛇口から出る水を検査するといいます。

 楢葉町は12年8月、警戒区域から日中の立ち入りが可能な避難指示解除準備区域とされました。除染が一巡したことを受け、15年4月から解除に向けた長期宿泊が認められていました。

 

安心とはほど遠い・・楢葉町の宝鏡寺住職でいわき市に避難した福島原発避難者訴訟原告団長、早川篤雄さん(75)の話

 安心して住めるようになった解除ではありません。除染は家の周り20メートルと道路の周囲だけ。インフラもまったく不十分です。復興庁がアンケート調査をしていますが、すぐに戻るといっているのは1割前後しかいない。それも高齢者ばかりで、若い人や子どもを持つ世代はほとんど戻らないと笞えています。1割の人が戻っても、地域の集落、町全体は元の生活に程遠い。

 避難生活という地に足のつかない、先の見えない生活を4年半近く続けてきました。避難解除になっても現状では3・11前の生活とは程遠い現状です。私は住職ですので戻りますが、周囲で戻るのは2、3人です。これではなんら希望も持てず、展望も開けません。政府・東電は補償を打ち切ろうとしていますが、このままではこれまで以上の苦しみを強いられることになります。以前の生活に戻るまで補償を要求しなければいけないと思います。

(「しんぶん赤旗」2015年9月6日より転載)

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