多数の点検漏れが見つかり、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けている日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)で、機器の点検頻度や内容に関わる安全機能の重要度分類に誤りがあることが分かりました。規制委は9月3日から始めた保安検査で詳しく調べるといいます。
重要度分類は、機器や設備を安全確保の上で重要なものからクラス1〜3に分けています。原子炉圧力容器など最も重要なものはクラス1とされ、点検頻度を増やすなどの対応が決められています。
原子力機構は、もんじゅの約4万9000機器を規定に従って分類していましたが、本来はクラス1の機器がクラス2や3以下に分類されていたり、逆にクラス3以下のものがクラス1にされるなど不適切な分類がみつかりました。原子力機構はいったん、誤りの数が3000以上と規制庁に報告していましたが、集計にミスがあったとして再度確認をするとしています。
もんじゅをめぐっては今年3月の保安検査で、保全計画を策定するための安全機能の重要度分類の技術的検討が完了していないことなどが指摘されました。原子力機構が、再確認を行う中で、重要度分類の誤りが発覚したといいます。
運転停止中のもんじゆは2012年11月、1万点を超える機器の点検漏れが発覚。13年5月に事実上の運転禁止命令を受けました。機構は再発防止策などを提出しましたが、その後も点検をめぐる不手際が次々と判明し、運転再開は見通せない状況になっています。
(「しんぶん赤旗」2015年9月5日より転載)