全国知事会の危機管理・防災特別委員長を務める新潟県の泉田裕彦知事が8月24日、原子力規制委員会の田中俊一委員長と面談し、原発事故時の避難で緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI、スピーディ)を活用するなど、原子力災害対策指針(防災指針)の見直しを要望しました。
規制委は防災指針を改定し、事故直後に放射性物質の放出量を把握するのは困難としてSPEEDIを避難の判断に使わず、原子炉の状態やモニタリングによる実測値を用いることに変更しました。
泉田知事は「被ばくを前提に避難指示を出すことになり、住民の理解を得るのは困難と予想される」と述べ、SPEEDIを活用する仕組みを作るよう求めました。田中委員長は、「SPEEDIでの避難は、いろんな混乱のもとになる」と述べました。
また、泉田知事は防災対策で必要な措置が各省庁で縦割りになっているとして、規制委が持つ勧告権を行使するよう求めると、田中委員長は「意味がある勧告でないと」と述べるにとどまりました。
泉田知事は知事会との定期協議の場をつくってほしいと要望。
田中委員長は「意見交換の場は工夫しなければいけないが、具体化できるかどうか、即答しかねる」としました。
面談後、泉田知事は「規制委の役割は住民の生命、安全を守ることだが、住民目線が伝わってこなかった。政府から独立して勧告権を出す姿勢がなければ、保安院時代と変わらない懸念がある」と批判しました。
(「しんぶん赤旗」2015年8月25日より転載)