全国で「原発再稼働ノーの声と運動が高まるなか、東北電力女川(おながわ)原発が立地する宮城県女川町でも住民が「反対」の思いを強めています。日本共産党の高野博、阿部律子両町議は、再稼働反対を一貫して訴え町民の共感を広げています。(森近茂樹)
女川原発は、東日本大震災で複数の電源が途絶え、原子炉建屋が浸水、冷却水のポンプも停止するなど重大事故寸前の事態になりました。ところが東北電力は、3基の原発のうち、2号機を最初に再稼働しようと原子力規制委員会に審査を申請しています。
「再稼働と戦争法案は絶対よくない。命と暮らしが根本から脅かされるものだから」。女川町の自宅が津波で流され、仮設住宅で暮らす松木卓さん(77)は、こう強調します。薬局経営や裁判所調停委員に長くたずさわった松木さんは人脈の広さを生かして原発の危険性を訴えています。「女川では東北電力の地元対策が長年やられて、表立って反対を口にできない雰囲気がつくられてきた。しかし、福島第1原発事故後は『本心は再稼働反対』という声が増えてきました」
講演会に170人
再稼働に反対する日本共産党の両議員と無所属の阿部美紀子議員が主催して7月4日、女川原発で重大事故が発生した場合の危険性や避難計画を考える講演会を環境総合研究所顧問の青山貞一氏を講師に迎えて開催。会場の町総合体育館には住民ら約170人が参加しました。高野町議団長は「予想以上の集まりで、関心の高さが示された。同僚の町議も何人か来ていました」と語ります。
講演会に参加した柳沢祐子さん(56)は「原発事故の被害は想像以上です。共産党の議員さんには、危険性を町民に伝えてほしい」と期待します。
59%が「反対」
3議員は再稼働の是非を問う町民アンケートも実施し昨年末に結果を発表しました。2440世帯に配布し、675世帯から回答があり、59%(396世帯)が再稼働に反対し、賛成の20%(135世帯)を大きく上回ったのです。高野さんらは須田善明町長に結果を報告し、町として住民の意向調査をするよう求めました。
東北電力は、社員を動員しての住民工作や女川原発PR館への見学会など、あらゆる手段を使って再稼働に執念を燃やしています。町長や町議会(12人)の多くも、まだ原発容認派です。
住民が「再稼働ノーの意思を示す絶好の機会となるのが10月25日投票の県議選、町議選です。女川原発立地地域で日本共産党は、三浦一敏県議(石巻・牡鹿選挙区)と高野、阿部町議の大きな支持を集めての勝利をめざしています。
松木さんは、今回はじめて公然と名前を出して応援します。「再稼働をやめさせるためには、共産党が大きく伸びないとだめです」ときっぱり。
両町議は力を込めて訴えます。「住民の命と暮らしを守るという共産党の役割が、いまほど求められているときはありません」(阿部さん)、「原発の危険性を一貫して追及してきましたが、町民の思いに応えてなんとしても再稼働を阻止したい」
(高野さん)
(「しんぶん赤旗」2015年8月11日より転載)