東京電力は8月8日、福島第1原発で、関連企業の男性作業員(52)がバキュームカーのタンクのふたに頭を挟まれ、搬送先の病院で死亡が確認されたと発表しました。東電は今後、状況をみて作業を停止し、安全対策を検討するとしています。
福島県警双葉署によると、死亡したのは同県いわき市の烏山直志さん。
東電によると、烏山さんは鹿島建設の2次下請けの企業に所属。構内北側の作業現場で、バキュームカーの後方にある油圧駆動式のふたを開けてタンク内部を清掃していました。作業は2人で行っていました。清掃後の午前6時25分ごろ、別の作業員がふたを閉めるレバーを操作し、後方を確認すると、烏山さんがふたに頭部を挟まれた状態だったといいます。
作業はヘルメットと全面マスクをつけて行われたといいます。東電は「作業手順が明確だったかどうか確認できていない」と説明しています。
車両には緊急停止ボタンはついていませんでした。福島県警などが、原因を調査中です。
事故のあったバキュームカーは、汚染水対策として進められている「凍土遮水壁」の工事で使われたもの。事故のあった車両は清掃後に、福島第1原発から搬出する予定でした。
作業災害あいつぐ
束電福島第1原発で、また重大な作業災害が発生しました。震災後、同原発で事故収束作業による直接の死亡は3人目。作業員が心筋梗塞を起こしたケースなども含めると、死亡は計11人です。
今年に入って、東京電力の三つの原発では死亡事故を含む作業災害が相次ぎました。1月に、福島第2原発で作業員が装置に頭部を挟まれて死亡し、福島第1原発でタンク上部から内部に転落した作業員が死亡、柏崎刈羽原発では作業員が転落し大けがをしました。
これをうけ東電は一時、ほとんどの作業を中止して安全点検を実施。作業現場や手順書の確認などの対策をまとめ、教訓の活用に弱さがあったことなどを認めました。
福島第1原発では昨年度、作業中に死傷したり熱中症にかかったりした人は64人で、そのうち死亡が1人、重傷は6人でした。熱中症が14人、転倒などによる負傷が13人、機器に体を挟むなどの負傷が13人でした。
(中村秀生)
(「しんぶん赤旗」2015年8月9日より転載)