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“福島第1の敷地超える津波は予見できた”・・注目集めた都司東大地震研元准教授の証言

原告団・弁護団の集会で話す都司嘉宣氏(福島市)
原告団・弁護団の集会で話す都司嘉宣氏(福島市)

 東京電力と国を被告に原発災害の原状回復と損害賠償を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の口頭弁論に、地震・津波研究の第一人者、元東大地震研究所准教授の都司嘉宣(つじ・よしのぶ)氏が原告側の証人として立ち、東電福島第1原発の敷地を超える津波を予見できたと証言し、注目されました。

生業訴訟口頭弁論

 都司氏が5月の口頭弁論で取り上げたのは、2002年7月に文部科学省の地震調査研究推進本部(推本)の長期評価部会海溝型分科会が公表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(以下「長期評価」)の重要性です。

可能性どこでも

 「長期評価」は、都司氏自身も策定に加わったもので、1896年に起きた明治三陸地震と同様のマグニチュード8クラスの地震が、福島県沖を含む、三陸北部から房総沖の日本海溝寄りの領域内のどこでも発生する可能性があることを指摘したものです。地震を起こす原動力である太平洋プレートが北米プレートの下に潜り込む基本構造が、明治三陸地震が起きた日本海溝の北部だけでなく、中部、南部でも変わらないからです。また、その発生の確率を今後30年内で20%程度と推定していました。

 「長期評価」は、日本海溝付近の過去の「津波地震」として、明治三陸地震のほか、1611年の慶長三陸地震、1677年の廷宝房総沖地震を挙げています。「津波地震」とは、地震の規模に比べ、津波の規模が非常に大きくなる地震のことです。

国・東電の言い分を批判

 都同氏は口頭弁論で、海岸地形の影響を受けて増幅する津波の特性を説明した上で、歴史資料をもとに、過去の三つの津波地震について詳しく説明しました。

過去38メートルの津波

 明治三陸地震は、地震そのものによる被害はなかったものの、三陸海岸地方で、地表から測った津波の高さが最大で38メートルに達し、約2万2000人が亡く

なっています。

 延宝房総沖地震では、地震は小さかった一方で、房総半島外洋から宮城県の海岸にかけて大きな津波被害をもたらしました。慶長三陸地震も地震による死者の記録はありませんが、北海道東部から現在の福島県相馬市まで、広い範囲で大きな被害を出しました。

 都司氏は、津波地震が日本海溝寄りのどこでも発生し得るとした「長期評価」を踏まえれば、海抜10メートルしかない福島第1原発の敷地を超える津波の発生を「予測できた」と指摘。「長期評価」の知見を採用せず、抜本的な対策を取らなかった国と東電を批判しました。

 都司氏への反対尋問は7月に行われました。被告の国や東電は、「長期評価」の議論をたどる資料などから″異論″を持ち出し、三つの地震をまとめて「強引な結論を出したのでは」などと、「長期評価」の″信頼度″を問題にしました。

 しかし、都司氏は、「長期評価」は過去の地震を一つ一つ検討した重要な知見だったとして、福島第1原発の敷地を超える津波が来ることを予見できたと、重ねて指摘、反論しました。

(「しんぶん赤旗」2015年8月3日より転載)

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