東京電力福島第1原発の海側にある2、3号機トレンチ(ケーブルなどの地下トンネル)で、高濃度の放射能汚染水を抜き取る作業が進められています。今月(7月)中には、おおむね完了する見通しですが、第1原発で汚染水がたまっているのに抜き取りが行われていないトレンチなどは20日時点で、少なくとも16力所に上ります。計約7000トンの汚染水が地下に漏れ出す危険があります。
東電によると、第1原発では高濃度の汚染水がたまっている原子炉建屋やタービン建屋以外にも、トレンチやダクトと呼ばれる管、ピットと呼ばれる管理用の穴などに汚染水がたまっています。
中には、タンクに保管されている汚染水と比べても放射性物質濃度が高い所があり、最大でセシウム134は1リットル当たり990ベクレル、セシウム137は同3200ベクレルに上ります。東電が敷地内で排水する際の暫定基準値の60倍以上です。
こうしたトレンチやダクトなどは、もともと水をためる設備ではなく、タンクに比べて漏えいの危険が大きいのに、東電の巡視・点検は年1回にとどまります。
原子力規制委員会は、2、3号機トレンチにたまった汚染水の濃度が極めて高いことや、海に近いため流出の危険が高いことなどを問題視。早急な抜き取りを求めました。
(「しんぶん赤旗」2015年7月21日より転載)