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川内原発の避難計画 欠陥だらけ再稼働無謀・・代替ルートない■障害者に配慮せず

 障害者施設で働く福元さん=鹿児島県薩摩川内市

障害者施設で働く福元さん=鹿児島県薩摩川内市

 九州電力は鹿児島県薩摩川内市の川内原発1号機の燃料装填(そうてん)を完了し、8月中旬にも再稼働しようとしています。しかし、避難計画など多くの問題点が残されたまま。住民から不安の声があがる現地を歩きました。

(丹田智之)

 いちき串木野市の中心部から、白波が立つ東シナ海の海岸線に沿った道を進むと、同市羽島地区にたどり着きます。その先にある川内原発から直線距離で約10キロの同地区には、1800人ほどの住民が暮らしています。

海岸沿いだけ

 市の避難計画では、約50キロ離れた南九州市を避難場所に指定していますが、同地区からの避難ルートは海岸沿いの道路しかありません。しかも、落石や土砂崩れが頻繁に発生する危険な道です。

 同地区に住む70代の男性は声を震わせます。「地震と原発事故が同時に起きたらどうなるのか。道路が通行止めになったら、私たちは逃げ道がありません。このままでは命が保証されない」

 住民の間では、故障などで車両が立ち往生することも懸念されていますが、代替ルートは示されていません。

 「全員を安全な場所に避難させることは難しいだろう」と語るのは、薩摩川内市内の障害者施設で働く福元巧さん(58)です。

 事故発生時は施設の送迎車で避難することが決まっていますが、福元さんは「要援護者に配虚した避難計画になっていない」と指摘します。

 職員の数が少ない現状でも。視覚障害者や聴覚障害者には対応に慣れた職員が寄り添う必要があります。長時間の移動も心身の負担になり、「環境の変化に敏感な知的障害者がパニックを起こせば、一般の避難所にいられなくなる」(福元さん)ことも考えられます。ところが、市の避難計画は、障害者の避難を想定した中身になっていません。

命にかかわる

 いちき串木野市内で高齢者向けのデイサービスセンターを経営する江藤卓朗さん(58)は「投薬や人工透析などの医療的なケアが必要な高齢者も多く、避難は命にかかわる」と不安を口にします。江藤さんの施設は、1日に10人ほどが利用し、その中には独り暮らしの高齢者もいます。しかし、「誰がどこに避難させるか」などの肝心なことは何も決まっていないといいます。

 江藤さんは「避難計画は中身がありません。再稼働させることが前提になっている」と憤ります。再稼働ありきで策定された避難計画の欠陥が浮き彫りになっています。

(「しんぶん赤旗」2015年7月19日より転載)

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