2030年度の電源構成を検討していた経済産業省の有識者会議が7月16日に開かれ、現在は稼働ゼロの原発の割合を20~22%などとする「長期エネルギー需給見通し」を決定しました。
決まった電源構成(2030年度の総発電電力量に占める割合)は、原発を2割見込みます。宮沢洋一経産相は、2割を達成するためには「30基台半ばの再稼働が必要」(6月)と語っており、原発固執が鮮明です。
再生可能エネルギーは22~24%としていますが、世界では主力の太陽光7・0%、風力1・7%と抑制。CO2を最も排出する石炭火力発電を26%とするなど温暖化対策に逆行しています。
会議では、14人の委員のうち、橘川武郎東京理科大教授が「未来志向の議論をしていない」と反対を表明しました。他の委員からも「原発事故後の国民の価値観と一致しているのか」などと疑問が出されました。しかし、坂根正弘委員長(小松製作所相談役)は「政府へ実行を要請したい」と発言し、同席した上田隆之資源エネルギー庁長官は「(原発の)事業環境整備などに努め、実現に向けて最大限努力する」とあくまで原発を推進する考えを示しました。
7月1日まで1カ月間、実施されたパブリックコメント(国民の意見募集)には、「原子力発電の活用は国民の意思に反する」「再生可能エネルギーの導入を拡大すべきだ」など疑問や反対の声が寄せられました。意見総数は2060件。賛否の内訳は明らかにされていません。
(「しんぶん赤旗」2015年7月17日より転載)