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宮城 医療費免除線引き憤り・・コミュニティー再建に支障

免除再開へ県が主導するように要望書を提出する仙台市あすと長町仮設住宅自治会長の飯塚正広さん(右)=1月20日、宮城県庁
免除再開へ県が主導するように要望書を提出する仙台市あすと長町仮設住宅自治会長の飯塚正広さん(右)=1月20日、宮城県庁

宮城県内では、東日本大震災の被災者の国保、後期高齢者の医療費(窓口負担)と介護利用料の免除が1年ぶりに再開しました。被災者を先頭にした運動が、国と市町村を動かしました。しかし、対象者は限定されました。喜びの声が上がる一方で、被災者の線引きに憤る声も上がっています。
(佐藤幸治)

昨年(2013年)末まで多賀城市の山王仮設住宅で自治会長を務めた千葉昭蔵さん(71)は、免除打ち切り前から継続を求め、市内の仮設住宅を回り、請願署名を集めました。各地の仮設住宅自治会長と共に、県に繰り返し要請してきました。

「仮設には生活が苦しい人が多い。免除打ち切り後には、薬をがまんしている人や『病院はいかない』という年寄りもいました」と話します。

寝てがまん

仙台市の仮設住宅で暮らす北村敏子さん(73)は、免除の対象になりました。不整脈があり、震災後に症状が悪化。免除が打ち切られて以降、「具合が悪くても、毛布にくるまり、一日中寝てがまんする時もありました」といいます。

「薬をもらうために病院に行くときは、タクシーと薬代を合わせて1回7千円は掛かっていました。免除になって助かります。みんなが署名とか、いろいろやったからだと思います」と喜びました。

一方、同じ仮設に住む鴇田(ときた)勉さん(74)は、免除の対象にはなりませんでした。今年1月下旬から腰の手術のため約2ヵ月入院し、13万7千円の負担でした。

「年金は1カ月で15万円切るぐらい。入院費用の負担は大変でした。何で被災者に線引きをするのか。震災後の生活は天変なのだから、全員を対象にするべきではないのですか」と憤ります。

免除が再開したのは、住民税が非課税で、自宅が大規模半壊以上の被害を受けた世帯か、家計を支えてきた人が死亡した世帯です。対象者は以前の20~25%。仙台市の国保加入者の場合、わずか13%となっています。

支援拡大を

被災者と共に運動してきた復旧・復興支援みやぎ県民センターは、対象者を限定したことによって被災者が分断され、コミュニティーの再建に支障をきたすと懸念しています。

同センター世話人の水戸部秀利医師は言います。「今回免除対象にならなかった被災者が、健康よりも生活の立て直しを優先することがあると思います。生活を再建するまでの命の保障がなおざりです。これからも声を上げて、支援の拡大を実現していきたい」

基金で免除再開可能・・宮城県党議員団が指摘

被災者の運動に押され、厚生労働省が昨年末、震災後に医療費が増加した市町村を支援してきた交付金を、4月から医療費の増加率に応じて拡充することを示しました。村井嘉浩県知事が、これを免除再開に充てるよう市町村に要請。全35市町村が4月からの免除再開を決めました。

しかし、国の支援拡充はわずかで、市長会と町村会は、以前と同様の免除再開のための財政支援を県に求めましたが、村井知事は、財源不足を理由に財政支援を拒みました。

日本共産党は各地方議会で免除の再開を要求。村井知事に繰り返し迫ってきた党県議団は、「県には1千億円の基金があり、数十億円で以前の免除再開は可能」と指摘しています。

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