九州電力は来月中旬の再稼働を想定する川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)で7月7日、原子炉に核燃料を入れる作業を始めました。地元などでは「住民の不安の声をいっさい無視するものだ」「福島のことを考えれば再稼働は絶対に許せない」と抗議行動が行われました。
九電は10日までに計157体の核燃料を入れた後、核分裂反応を抑える制御棒など設備の検査を実施。再稼働前に、重大事故を想定した訓練を行うといいます。
川内原発の審査をめぐっては問題が山積しています。住民の安全にとって肝心な避難計画の実効性や、火山学会から火山対策の審査基準の見直しを求められたのをはじめ、老朽化対策の審査が終わっていないなど審査のずさんさが明らかになり、再稼働での同意自治体が限定されていることも批判されています。
ところが安倍政権は「原子力規制委員会のもとで安全を厳格に確認しながら手続きを進めていただきたい」(7日、菅義偉官房長官)などと、無責任な態度に終始しています。
住民ら抗議行動
この日、同原発の正門前には、早朝から住民ら約120人が集まり、抗議集会を開きました。参加者は「核燃料装荷は事故への一歩」などと書かれた横断幕を掲げ、「再稼働を許さないぞ」と怒りのこぶしを突き上げました。
「ストップ再稼働!3・11鹿児島集会実行委員会」の向原祥隆事務局長がマイクを握り、「1号機は運転開始から30年以上経過し、原子炉はボロボロの状態だ」と強調。「九電は住民の不安の声をいっさい無視して再稼働に突き進もうとしています。黙って見過ごすわけにはいきません」と訴えました。
同市在住で川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長は、「原発事故のことを考えると、再稼働は絶対に許されません。この町の自然や人々の命を守るため、再稼働に反対したい」と力を込めました。
日本共産党の、まつざき真琴県議が駆けつけ、「みなさんと団結し、なんとしても再稼働をストップさせたい。共にがんばりましょう」と呼びかけました。
「命より利益優先か」「安全」はごまかし・・反原連 九電東京支社前で抗議/川内原発 燃料挿入
九州電力が川内原発再稼働に向けて同原発1号機に核燃料を入れる作業を始めた7月7日、九州電力東京支社前(東京都千代田区)で再稼働反対を訴える抗議行動が行われました。
首都圏反原発連合(反原連)が呼びかけたものです。
川内原発1号機は、1984年の運転開始から4日で31年が経過。火山噴火への対応や避難計画の問題、老朽化による危険が指摘されています。
小雨が降るなか参加者は「危険な川内原発動かすな」などのプラカードを手に「川内原発再稼働反対」「九州電力原発やめろ」とコールしました。
首相官邸前抗議行動に毎週参加している横浜市青葉区の小松崎博さん(64)は「川内原発については、住民の避難計画が対象にならないなど、審査が不十分です。火山や地震の問題もあり、住民の命よりも利益を優先する姿勢は許せません」と語り、「声をあげて、必ず再稼働を阻止したい」と語りました。
住民無視の安倍政権・・訴え行動し続ける
原発ゼロをめざす鹿児島県民の会の井上森雄筆頭代表委員の話
九州電力も原子力規制委員会も、火山や地震などの専門家の意見も聞かずに、安全だと繰り返しています。まったくのごまかしで再稼働へ準備が進められていることに憤りを感じます。
地元では、声を出しづらい人たちもいます。しかし、住民アンケートをすれば、多くの再稼働反対や原発への不安の声が出されています。こうした住民の不安や安全性の問題も無視して再稼働を推し進める九電と安倍政権は、本当に許せません。安倍政権は、原発利益共同体を守るためにやっているのです。こうしたことがあってはならないと今後も訴え、行動していきたい。
1号機 4年2ヵ月間停止
川内原発1号機は2011年5月の定期検査以来、4年2ヵ月近く止まっています。核燃料は最終的に、13年1月に原子炉から運び出されています。
九電は13年7月に、再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査を原子力規制委員会に申請しました。規制委は翌14年3月、「審査チームの総力を挙げて」審査書案の作成に入る優先審査を決定。14年9月に基準に「適合」したとする審査書を決定しました。
(「しんぶん赤旗」2015年7月8日より転載)