原子力規制委員会の田中俊一委員長は7月1日、運転開始から約40年を迎え、20年の延長を検討している老朽原発・関西電力美浜原発3号機(福井県)について、耐震設計の基本となる地震想定(基準地震動)が8月末までに大筋で確定しなければ、来年11月の期限までに認可が下りなくなる可能性を示唆しました。
3月に新規制基準への適合性審査を申請した美浜3号機は、来年11月までに再稼働に必要な許認可と運転延長の認可が下りなければ運転が不可能になります。
田中委員長は1日の定例会合で、適合性審査で九州電力川内原発(鹿児島県)など先行する原発が基準地震動策定から設備の耐震性などを示した工事計画の許認可まで約1年かかっていると指摘。美浜3号機は運転延長審査にも時間が必要で、「意見の違いも目立っているようだが、このくらい(8月末)で結論が出るのかどうか」と疑問を呈しました。
同原発の審査では、関電が周辺で発生する地震の震源の深さをより深く想定。しかし、規制委はデータの信頼性を問題視し、震源をより浅く見直すよう求めましたが、関電は「データに基づいた」とあくまで強調しています。
担当の石渡明委員は「8月終わりまでに基準地震動が決まらないと後が厳しくなるのは理解したが、実現には事業者側の特段の努力が必要。時間が限られていても審査は厳格に行う」と述べました。
田中委員長は、規制委が多くの原発の審査を抱えていることを強調。「いつまでも美浜だけにかかりきりになるわけにはいかない。先の見えない審査をいつまで続けるのか、最終的な判断をする時期もあるかと思う」と述べ、審査の打ち切りをする可能性を示唆しました。
(「しんぶん赤旗」2015年7月2日より転載)