2011年3月11日に発生したマグニチュード(M)9・0の東北地方太平洋沖地震による津波で大きな被害をうけた三陸沿岸地域を、15世紀以降少なくとも9回の津波もしくは高潮が襲っていたことがわかりました。6月19日に東京大学地震研究所が開いた第939回談話会で、東大院生の五島朋子さんが発表したものです。
五島さんらは、岩手県宮古市内の海岸から140メートルから260メートル内陸にある湿地で、15本の土壌コアサンプル(長さ3メートル程度)を採取。分析の結果、東北地方太平洋沖地震による津波を含め、津波もしくは高潮によって運ばれたと思われる九つの堆積層を確認しました。
炭素、セシウム、銅の同位体の半減期を利用して堆積した年代を堆定したところ、いずれも、15世紀以後の文献に記録が残っている津波や高潮と合致する時期のものであることがわかったといいます。
五島さんらは、上から8番目の厚い堆積層は、慶長三陸地震(1611年)による津波によるものではないかと推定しています。
また、15世紀より古い地層のなかに、東北地方太平洋沖地震による津波堆積物とよく似た堆積層を発見。詳しい分析はまだとしながら、少なくともM8・3以上の巨大地震だったとされる貞観地震(869年)による津波の痕跡の可能性があるとしています。
(「しんぶん赤旗」2015年6月20日より転載)