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電力政策にみる知的浪費・・原発を推進し、再エネ抑制する官僚

 安倍晋三政権のエネルギー政策には、原発推進の立場からも″お粗末″と批判があがっています。例えば、温室効果ガスの削減目標です。日本は、1990年比では欧州迎合(EU)より劣るので、基準年を2013年に変更しました。すると、日本が26%滅、EUが24%滅と逆転。90年比では22%も日本の削減率が少ないのに、まるで手品です。

 経済産業省長期エネルギー需給見通し小委員会の委員を務めた東京理科大学大学院の橘川武郎教授は、基準年変更について、「こういうことに頭を使うべきじゃない」と嘆きました(1日の審議会終了後)。同氏は原発推進の立場ですが、見通し案は「正々堂々としていない」と反対しました。

 ごまかしはまだあります。例えば、「低コストで安定的なベースロード電源」です。政府は、ベースロード電源が全体の6割以上を占めるのが国際標準だとし、現在4割の日本も原発復活で6割にするといいます。ところが、国会でベースロード電源の定義を問われると、経産省の担当官は「国際的に共通の定義はない」と答弁しました。

 需給見通し案の「電力コスト」もそうです。政府は、電力コストを現状9・7兆円から9・5兆円に下げ、国民負担を軽減するといいます。しかし、火力や原発の費用として計上されているのは燃料費だけで、資本費も保守費も社会的費用もありません。電カコストといっても、電気料金の原価とは全く別物です。

 一方、再生可能エネルギーの費用には資本費が入っており、9・5兆円のうち再エネの費用は約4兆円です。電力コストは、再エネの費用を過大にみせ、導入にふたをするために官僚がつくった言葉にすぎません。

 原発を推進し、再エネを抑制するために官僚に知恵を絞らせるのは、巨大な知的浪費です。

(佐久間亮)

(「しんぶん赤旗」2015年6月17日より転載)

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