経済産業省は月内(2015年6月)にも、太陽光や風力など再生可能エネルギーでつくる電気を力会社が買い取る制度の見直しに着手します。買い取り対象の9割超が太陽光に偏っていることを口実に、太陽光買い取りの上限設定や電力会社への売電契約を参入条件にすることなどを検討します。
年内に見直し案をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出。2017年度施行を目指すとしています。
買い取り制度は、再生エネの早期普及のため12年7月に開始。発電施設などが要件を満たせば国の認定が受けられ、最大20年間、同じ価格で電気を買い取ってもらえる仕組みです。
しかし、九州電力など大手電力5社は昨年、受け入れを続ければ、送配電網の容量を超えて大規模停電が起きる恐れがあるとして、買い取りを一時中断して混乱が広がりました。
経産省は、電力会社と電気の売買契約を結ばないと新規参入を認めない制度への変更を検討。買い取りの量や額に上限を設けることも視野に入れています。
一方、普及が遅れている地熱やバイオマス(生物資源)については、買い取り決定までの手続きを簡素化するなど、参入しやすい環境を整える方針です。
普及の障害になりかねない・・和田武・立命館大学元教授の話
国のエネルギー需給見通し案は、再生エネの普及を抑制するものになっており、買い取り制度の見直しもそうした動きと連動したものだと思います。
現在は、電力会社は再生エネ事業者と義務的に契約を結ぶことになっています。
今回の制度変更でそれが緩められ、電力会社が契約を主導することになれば、電力会社が事業者を選別することになり、再生エネ普及が困難になりかねません。
国際的にみれば、太陽光も含め日本で普及しすぎている再生エネはありません。抑制ではなく、優先的に利用する方向で議論すべきです。
(「しんぶん赤旗」2015年6月16日より転載)