電気・ガス・熱供給事業の一体的全面自由化をねらう電気事業法改定案が6月17日、参院本会議で、自民、公明、民主、維新、次世代、社民などの賛成で可決、成立しました。日本共産党は反対しました。
採決に先立つ討論で、日本共産党の倉林明子議員は「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を経験した国民が期待する改革に背を向けるものだ」と批判しました。
倉林氏は、政府が原発と石炭火力を「ベースロード電源」とする古い発想に固執し、改定案でも原子力の「事業環境整備」を明記しているとして「『原発利益共同体』の強い要求に応えたものだ」と批判。全面自由化によって作り出される総合エネルギー市場も「担い手となるのは、電力・石油元売り・総合商社などの巨大資本であり、寡占化によって料金の抑制どころか、値上げの危険が高まりかねない」と強調しました。
さらに、消費者からは、重大事故につながるガス機器の安全の確保に不安も示されているとして、「長年培ってきた一体的な保安体制を後退させる恐れを残したままの全面自由化は、消費者利益を侵害する危険がある」と批判。原価情報の開示義務が明確にされないまま、従来の公聴会などの国民参加の手続きを廃止することについて、「料金の中身が見えにくくなり、選択肢と『知る権利』を奪う」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2015年6月18日より転載)