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困難極まる燃料取り出し、国は東電任せやめ前面に・・福島第1原発 廃炉工程表改定

3号機の使用済み燃料プール。 2012年には周辺に散乱した高放射線量のがれきがプール内に落下しました(東京電力提供)
3号機の使用済み燃料プール。 2012年には周辺に散乱した高放射線量のがれきがプール内に落下しました(東京電力提供)

 解説・・

 6月12日に決定し東京電力福島第1原発の廃炉に向けた工程表の改定販は、事故の収束・廃炉の道のりの険しさを示すものとなっています。

 今回、トラブルや作業の遅れで使用済み核燃料の取り出し開始時期は最大3年の先送りとなりましたが、世界初となる原子炉内で溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出しはさらに困難をきわめます。東電が3月、宇宙線を使った透視技術で1号機の格納容器内を調べたところ燃料はすべて下部に溶け落ちていました。

 使用済み燃料取り出し、デブリ取り出しのいずれも高放射線量下での作業となり、人員確保、安全確保が課題となります。

 放射能汚染水対策について今回新たに、「取り除く」「近づけない」「漏らさない」などの分野ごとに目標時期を設定しました。

 「近づけない」では、16年度までに建屋地下への地下水流入量を1日100トン以下に減らすとしていますが、建屋近くの井戸(サブドレン)からくみ上げた地下水を浄化して海に放出する計画は漁業者の理解を得られていません。相次ぐ汚染水の海への流出事故で、漏えいを放置し、公表を遅らせていた東電への信頼がさらに揺らいでいます。

 原子炉建屋を囲むように地下に氷の壁をつくる凍土遮水壁計画は、本当に凍るのか、地下水の逆流を防ぐ厳格な水位管理が可能かなど、多くの問題点が専門家に指摘されています。

 国は事故収束の「前面に立つ」といいながら、実際にはどの問題でも東電の計画を追認し、東電任せにしてきました。工程表の改定版をつくったら「東電にお任せ」ではなく、国内外の英知を結集して収束・廃炉に責任を果たすべきです。

(細川豊史)

 

廃炉工程表・・

 2011年3月に事故を起こした東京電力福島第1原発の廃炉作業に関する全体計画。政府と東電が同年12月に策定し、改定は13年6月に続き今回で3回目。廃炉完了まで3040年と想定しています。使用済み燃料プールからの燃料取り出し開始までを第1期、原子炉で溶け落ちた燃料取り出し開始までを第2期、それ以降を第3期に区分。昨年12月に4号機プールからの燃料取り出しが完了し、現在は第2期。

(「しんぶん赤旗」2015613日より転載)

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