日本ペンクラブの「子どもの本」委員会は3月11日、東京で福島原発事故後の子どもたちを考えるシンポジウムを行い、300人あまりが参加しました。浅田次郎・日本ペン会長に続き、作家で同委員会委員長の森絵都(えと)さんが「この会を、何かを考えるきっかけにしたい」とあいさつしました。
基調報告した小児科医の山田真さんは、福島で放射能を懸念して県外に避難する人と、したくてもできない人との間で葛藤が起き、原発事故のために地域が分断されてしまった現状を報告。国・県・原子力産業が新たな「放射能安全神話」をつくっているとして、「福島の人が少しでも安全に生きていくための知識を伝えていきたい」と語りました。国や県が甲状腺検査データを独占していることを批判し、詳細データの公開、対照データを得るための行政による検診実施を求めました。
フォトジャーナリストの広海隆一さんは、自らが携わる支援活動を紹介。原発再稼働に走る安倍政権に対し、国民は「思考停止してはだめだ」と訴えました。伊方原発差し止め訴訟に参加のため松山市に滞在中の詩人アーサー・ビナードさんはインターネット通信で、「再稼働を止めなければ、自分は何のために日本にいて文学をしているか分からない」と文学者としての決意を語りました。