東京電力福島第1原発で移送中の汚染水がホースから漏れた問題で1日、東電が漏えいリスクの高いホースを定期点検もせずに使っていたことが明らかになりました。漏えい量は推定7〜15トン。
このホースは2011年以来、穴が開いて漏えい事故が頻発し、問題になったポリ塩化ビニール製。ホースが大きく折れ曲がっていたため負担がかかり、劣化して穴が開いたといいます。ホースは本来、大きく曲げて使用
することは想定されていませんでした。
東電は、このホースの漏えいリスクが高いことを認識しながら、移送する汚染水が建屋地下の汚染水よりは放射能濃度が低いことを理由に使用。2013年10月に設置した後、定期的な点検もしていませんでした。
漏れた汚染水には全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が1リットル当たり110万ベクレル含まれ、ストロンチウム90の国の放出基準(告示濃度限度)の1万倍に相当するレベルでした。漏えい量が15トンだとすると、含まれるストロンチウム90の総量は165億ベクレル。
東電はこのホースの使用を取りやめ、ポリエチレン管を敷設する方針。昨年春から交換工事を進めていましたが、問題のホースは1〜4号機建屋周囲の土壌を凍らせる凍土遮水壁の工事などと重なるため遅れていました。
また東電によると、汚染水移送は5月27日午前に開始し、漏出が発覚した29日午前まで昼間の時間帯に実施。分析の結果、移送開始時から漏れていた可能性が高いといいます。
川内再稼働「8月中旬」
九州電力は6月1日、再稼働に向けた使用前検査を進めている川内原発1号機(鹿児島県)について、7月下旬としていた再稼働予定時期を、8月中旬に変更することを原子力規制委員会に伝えました。1号機の起動に必要な
2号機との共用設備の検査日程を見直したためだといいます。
使用前検査は、新規制基準に適合したとされる設備や機器が、実際に設計通りかを規制委が確認する検査。検査日程は電力会社が立案します。検査終盤には原子炉を起動して発電を開始し、問題がなければそのまま営業運転に入ります。
(「しんぶん赤旗」2015年6月3日より転載)