経済産業省の有識者会議は6月1日、2030年度の電源構成(エネルギーミックス)を示した政府案「長期エネルギー需給見通し(案)」を了承しました。焦点の原発比率は20~22%と、老朽原発の運転延長などが前提です。
2日から国民の意見募集(パブリックコメント)にかけ、7月中にも正式決定する予定です。
東京電力福島第1原発事故前の原発固執姿勢が鮮明になっており、委員から「『原発依存度を限りなく低減し、再エネを最大限導入する』(エネルギー基本計画)という安倍政権の公約と違う」という声も上がりました。
原発は法律で原則40年運転とされ、仮に全基を再稼働させても次つぎ廃炉になり、30年時点では15%程度にしかなりません。それ以上の割合を見込んだ政府案は、事故の危険を増大させる大幅な運転延長が前提です。延長にとどまらず、「原発の新増設の議論を深めていく必要がある」とする委員もいました。
政府案では今回新たに「(再稼働で)国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」と書き込まれたほか、原発を最大限推進するため「事業環境整備を図る」ことが明記されました。
再生可能エネルギーは22~24%と数字上は原発を上回りますが、太陽光7・0%、風力1・7%と非常に少なくなっています。
電源構成の比率は、温室効果ガスの削減目標を試算する前提ですが、二酸化炭素を最も多く排出する石炭火力発電を26%も見込み、地球温暖化対策にも逆行しています。
(「しんぶん赤旗」2015年6月2日より転載)