国産エネルギー?
ポイント
・ウランはすべて輸入
・背景に米国いいなり
・再生エネ普及を妨害
100万キロワットの発電所を1年間動かすのに石油火力発電は大型タンカー約8隻分を必要とするが、原発なら10トントラック約2台分ですむ・・。経済産業省は原発の優秀さをそう強調します。
少ない燃料で巨大なエネルギーを生みだす原発を、日本の歴代政権は「準国産エネルギーと位置づけてきました。安倍政権のエネルギー基本計画案も、原発停止によってエネルギー自給率が低下しているとし「国際的に見ても自給率の非常に低い
脆弱(ぜいじゃく)なエネルギー供給構造」だと書きます。
しかし、原発の燃料となるウランは100%輸入です。原発が国産エネルギーというのは成り立ちません。
日本のエネルギー構造が弱いのは、アメリカいいなりに化石燃料依存と原発依存を続け、本当の国産エネルギーである再生可能エネルギーの普及を妨げてきたからです。
電力会社に再生可能エネルギーの買い取りを義務付けた2002年の新エネルギー利用特別措置法(12年廃止)は、買い取り義務が全発電量の1%にも満たなかったため、08年度までは簡単に超過達成でき、本格的普及につながりませんでした。
しかも、超過分は翌年に繰り越せるため、09年度以降は実際の発電量が義務量に達しない事態が発生。再生可能エネルギーの普及ではなく、むしろ抑える役割を果たしました(グラフ)。
再生可能エネルギーによってエネルギー自給率の向上は可能です。50年までに再生可能エネルギーを全電力の80%以上にする目標を持つドイツは、エネルギー自給率がすでに3割に達しています。
再生エネは不安定?
ポイント
・導入進むほど安定化
・日本は再生エネ大国
・風力はすでに低価格
エネルギー基本計画案は、再生可能エネルギーについて、安定供給やコスト面で「さまざまな課題が存在する」と書きます。設置費用が高く、季節や天気に左右されるという意味です。
そのため太陽光や風力は、需要の大きな時間帯に調整電源として使う「ピーク電源」の位置づけです。コストが安く安定的な「重要なベースロード電源」とされた原発とは対照的です。
日本環境学会の和田武前会長は「個別の電源の特性を取り上げ、欠陥として描くのは問題だ。太陽光も風力も導入が進むほど変動幅はなだらかになる」と語ります。
日本は化石燃料やウラン資源を海外に依存しなければならない半面、風力に適した長い海岸線、水力に適した急峻な地形、国土の7割を占める森林、世界第3の資源量を誇る地熱など、豊富な再生可能エネルギーに恵まれています。
こうした多様な再生可能エネルギーを組み合わせることで「安定供給は十分可だ」(和田さん)といいます。原発の夜間電力の貯蔵用につくられた揚水発電も、再生可能エネルギーの電力調整に利用できます。
コスト面でも、風力は政府試算で1キロワット時9・9~17・3円と下限ではすでに原発(政府試算9円、現時点の福島原発事故費用を加えると12円)より安くなっています。太陽光も約20年間でシステム価格が7分の1以下になり、政府試算でも将来モデルでは9・9~20円です。普及が進めば大幅に下がる可能性は十分あります。火力発電や原発と違い、温室効果ガスや核のゴミも出しません。
再生可能エネルギーが不安定で高コストだというのは、原発に固執するための議論です。
(つづく)
(しんぶん赤旗2014年3月14日付けより転載)