日本共産党の井上哲士議員は5月7日の参院外交防衛委員会で、政府が4月30日に示した2030年の温室効果ガス削減目標(2013年比で26%削減)の要綱案について追及し、抜本的な見直しを求めました。
政府案は、基準年を京都議定書の基準年である1990年から、日本の排出が過去2番目に多かった13年にずらしました。その結果、90年比に換算すると18%にすぎず、05年比では25・4%にとどまります。一方、EU(欧州連合)は30年に1990年比で40%の削減、米国は25年に05年比で26~28%削減を打ち出しています。
井上氏は、日本の目標は主要国に比べて低く、基準年を変えることで国際的にそん色ないと見せかける「奇策」だと指摘。国際環境NGOからも「日本の地位は失墜してしまう」と批判があがっていると強調しました。
井上氏は、政府が2030年の電源構成で原発の比率を20~22%とした問題を指摘し、原発の新増設と同じ場所での建て替え(リプレース)を前提にしたものだと批判。原発再稼働なしでも温室効果ガスを05年比で30%削減できるとした国立環境研究所の試算も示し、知見をくみつくし、国際的な責任を果たせる削減目標を決め直すべきだと主張しました。
岸田文雄外相は削減目標について「より幅広い意見を取り入れた上で最終決定する」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2015年5月8日より転載)