関西電力は4月30日、運転開始から40年前後の高浜原発1、2号機(福井県)について、原子力規制委員会に運転延長を申請しました。高浜1、2号機は、廃炉になった原発を除く国内43基の中で最も古く、運転開始から40年を超える老朽原発の延長申請は初めて。
原子炉等規制法は原発の運転期間を原則40年とし、一定の条件を満たせば1度だけ最長20年の延長を認めています。高浜1号機は運転開始から既に40年を超え、2号機も11月で40年になります。猶予期間を含めた期限は2016年7月に設定されており、規制委の認可が間に合わなければ延長は認められず、廃炉を迫られることになります。
関電は昨年12月から同原発の原子炉圧力容器など設備の劣化状況を調べる特別点検を実施。40年超の運転は可能と判断しています。
関電によると、延長申請の審査対象は圧力容器や格納容器のほか、配管や建屋、空冷式非常用発電装置などで、1号機で約3100、2号機で約3000に上ります。
規制委は今後、関電による点検の妥当性などを検証します。これとは別に、関電は高浜1、2号機の再稼働に必要な審査を3月に申請しており、運転延長には審査合格と延長認可の両方がそろう必要があります。
長期の運転で酷使された原発は原子炉圧力容器がもろくなるなど、事故が起きた時に大事故につながる危険性が高いと指摘されており、こうした点が審査でどう判断されるかが問題です。
(「しんぶん赤旗」2015年5月1日より転載)
「再稼働は無責任」・・学術会議提言 核ゴミ保管計画なし
原発の稼働で発生する使用済み核燃料や再処理後の高レベル放射性廃棄物(「核のゴミ」)について、日本学術会議は4月28日、原発を再稼働させる場合、新規制基準による安全性の確保と地元の了解だけでなく、核のゴミの「暫定保管に関する計画の作成を条件とすべき」とする提言を公表しました。学術会議は政府に勧告する権限を持ちます。
提言では、暫定保管に関する計画を「あいまいにしたままの再稼働は、将来世代に対する無責任を意味する」と批判しています。
提言は12項目。暫定保管の考え方について、政府がすすめようとしている深さ300メート宇以上の地中に埋める「地層処分」の途中段階ではなく、暫定的に地上保管することを強調。地層の安定性に関する研究を進展させるなど、適切な対処方策が確立するための猶予期間として「原則50年」としています。
また、暫定保管施設は電力会社の責任で立地選定、建設を行い、各電力会社の配電圏域内の少なくとも1ヵ所に、公平性の観点から原発立地地域以外での建設が望ましいとのべでいます。
国民の意見を反映した政策形成を担う独立性の高い政府の第三者機関として委員会を設置するべきだと強調。市民参加に重きを置いた「核のごみ問題国民会議」、科学技術的問題の調査研究を行う諮問機関の設置を盛り込んでいます。
学術会議は2012年9月、核のゴミを地中深くに埋めて処分する国の計画は行き詰まっており、「白紙に戻す覚悟で見直す必要がある」と指摘。暫定保管と総量管理を柱とした政策枠組みの再構築を提言していました。今回の提言はそれを具体化したものです。
(「しんぶん赤旗」2015年5月1日より転載)