日本共産党の倉林明子参院議員は3月27日、参院予算委員会で高浜原発(福井県、関西電力)の再稼働問題を取り上げ、「避難計画では住民の被ばくを避けられない。住民も周辺自治体も再稼働に納得していない」と述べ、再稼働中止、原発即時ゼロの決断を迫りました。
高浜原発の避難計画では、立地県ではない京都府内の13万人が対象になり、舞鶴市(8万9千人)、宮津市(3万300人)では全住民が対象になります。
倉林氏は、5キロ圏内の避難完了まで最長8時間かかり、5~30キロ圏内の住民は20時間以上待機するという京都府によるシミュレーションを紹介し、「過酷事故が起きれば被ばくは避けられない」と指摘しました。
望月義夫環境相は「放射性物質の放出は福島事故の1000分の1になる。国際原子力機関(IAEA)の基準より住民の被ばくは抑えられる」と答弁。倉林氏は「関西電力の想定では、最悪の場合、電源喪失から炉心溶融まで19分。短時間で深刻な事態になる」と告発しました。
宮津市の市議会は昨年12月、地元の範囲を30キロ圏内の自治体に拡大することを求める意見書を全会一致で可決し、舞鶴市では住民アンケートで85%が「再稼働には舞鶴市の同意が必要」と回答。関西広域連合は昨年12月、立地自治体なみの安全協定などが実現しなければ、再稼働を容認できる環境にはないと国に申し入れています。
こうした事実を示した倉林氏は「周辺自治体も、立地自治体と同じく再稼働への拒否権を持つのは当然だ。自治体が再稼働にものを言える制度を作るのは政府の責任だ」と迫りました。
これに対し安倍晋三首相は「国が一律に決めるわけにはいかない」と答弁。倉林氏は「自治体に避難計画の義務と被害のリスクだけ押し付け、自治体や住民の声を聞かない姿勢は断じて許されない」「不測の事態に対応できないのは明らかだ」と述べ、再稼働断念を迫りました。
(「しんぶん赤旗」2015年3月28日より転載)